知らないとヤバい!インフル「基本中の基本」 細菌・ウイルスの本質を理解していますか
寒くなってくると起こる現象のひとつが空気の乾燥だ。日本を取り囲む冬の気圧配置が、日本海側に雪や雨を降らせやすくして、そこに水分が集まることによって太平洋側を中心に空気が乾燥しやすくなる。さらには、エアコンやストーブなどの暖房器具で、空気を暖めるのも乾燥しやすくなる理由だ。
インフルエンザのようなウイルスは、一般的に湿度に弱いといわれるが、逆に空気が乾燥していると咳やくしゃみで飛び出したインフルエンザウイルスが空気中を漂いやすくなる。加えて、私たちののども寒さにさらされて乾燥するため、のどの粘液にくっついたウイルスを排除することがうまくできなくなる。これが寒い冬にインフルエンザが流行しやすくなる理由だ。だから、この時期は加湿器で部屋の乾燥を防ぐことが、インフルエンザの予防につながる。
症状が出る前から体の闘いは始まっている
鼻やのどから侵入したインフルエンザウイルスは、体内で増殖を始め、咳や鼻水が出る。これらの症状は、ウイルスと闘うための生体側の反応だ。たとえば、鼻の粘液に細菌やウイルスがキャッチされて細胞の中に侵入しようとすると鼻から脳には「異物をキャッチした」という情報が行く。すると今度は脳から「異物を追い出せ」という命令が下り、大量の鼻水が出る。
鼻水が実は血管から出ていることは、意外な事実と受け止められるかもしれない。鼻に張り巡らされた毛細血管から「血漿(けっしょう)」と呼ばれる液体がにじみ出る。これが風邪をひいたときに出てくる鼻水の正体だ。つまり、鼻水は侵入した細菌やウイルスなどの異物を懸命に外に流そうという体の反応。咳や下痢なども同様の働きがある。
インフルエンザにかかると高熱が出るが、これも生体防御反応の一種で、体内でウイルスが増殖しにくい環境を作るためなのだ。これらを免疫反応という。人類は太古の昔から細菌やウイルスにさらされながら生きてきており、体はそれに対する自然な備えを持っている。
私たちの体はウイルスが体内に侵入すると、まず体の感知システムが作動し、病原体を排除するための応急処置として、炎症を起こしてウイルスの増殖を抑える物質を分泌する。これが「自然免疫」だ。そして、問題の病原体の情報をつかみ、「犯人の人相書きのようなもの」が体内に伝達されると、私たちの体はこの病原体、イコール「犯人」への一斉攻撃を開始する。これを「獲得免疫」という。
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