今回の下落相場は、まだ下げきっていない

日経平均全面安で、急速に高まる政策期待

結局のところ、今回の下落相場はまだやりきってないということであろう。特に市場が懸念しているのは、中国である。裏側に何かあるのではという疑念があり、市場心理を不安定にさせている。

19日に発表された2015年第4四半期のGDP成長率は、前年同期比6.8%増で市場予想と一致した。しかし、世界的な金融危機に見舞われ、6.2%成長にとどまった2009年第1四半期以降では最低の水準となった。これにより、当局への追加刺激策の圧力が強まるとの見方が浮上している。

また2015年通年のGDP伸び率は前年比6.9%で、政府目標の7%前後に沿う内容となったが、これも1990年以来の低水準で、成長スピードは着実に鈍化している。まさに「新常態(ニューノーマル)」に向けた動きに入っている。

さらに、同国の2015年の総発電量は前年比0.2%減で、1968年以来初めの減少となった。特に12月は気温低下とともに需要がピークを迎えるのが普通だが、昨年12月の発電量は前年同月比3.7%減。また年間の不動産投資は前年比1.0%増にとどまり、約7年ぶり低水準だった。中国国内の経済情勢はやはり厳しいと言わざるを得ない。

一方、2015年の石油消費は前年比2.5%増の過去最高の日量1032万バレルに達した。ガソリンや灯油などの石油製品の堅調な需要が背景にある。もっとも、2016年は一段の景気減速や、ガソリン車の需要を支えてきた自動車購入税の減税措置が抑制される見通しで、需要の伸びは鈍化すると見込まれている。石油製品の生産は輸出向けの急増に支えられる面もあり、手放しでは喜べない部分もある。中国景気の不振はやはり、世界経済さらには金融市場の不安要因であることだけは間違いない。

注視したい原油反転のタイミング

一方、株安の原因となっている原油相場だが、28ドル台をつけるに至った。イランに対する欧米の経済政策が解除されたことで、原油輸出が増加するとの思惑が売り材料となっている。しかし、これらの材料はすでに十分に織り込まれている。むしろ、ここまで原油相場が急落したのは、投機筋の売りポジションの積み上げと、買い方の投げである。投機筋の売りポジションは統計開始以来の高水準にあり、反発すれば買戻しを余儀なくされる状況にある。そのため、原油相場の反発が株価を短期的に押し上げる可能性は十分にある。

21日にはECB理事会、26・27日にはFOMC、28・29日には日銀金融政策決定会合が控えている。政策期待で一時的に株価が戻すことは十分に想定される。しかし、結局のところ、戻り局面は売り場になるだろう。FRBが下した利上げという判断が、株価を下押しする要因であることに変わりない。

ダウ平均が1万5000ドル割れを試す動きに入れば、日経平均もつれて1万6000円割れを試すことになる。筆者はWTI原油が年末までに最大60ドルまで戻すと見ているが、そうなれば企業業績が圧迫され、株価にはネガティブに作用する。原油高でドル売り・円買いが進めば、これも日本株の圧迫要因になる。その結果、「株安、ドル安、コモディティ高」という筆者の昨年来からの見通しが現実のものになると見ている。

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