離陸するカーシェアリング、成熟産業・リース業界はサービスで競争
逆風下の自動車リースは総コスト削減でアピール
では、いかにリース需要を喚起するか。北山専務執行役員は「法人の自動車にまつわる全業務のコスト削減を訴えていく」という。修理点検、車両管理だけではなく、運転指導による安全対策や燃費向上、配送ルート改善まで含めたコスト削減策を提示していくというのだ。自動車リース業界は80年代から管理業務全般を行うメンテナンスリースを志向してきたが、未曾有の逆風下だからこそ、この取り組みを徹底する。
同じように「リース料金だけで競争する時代は終わった」と、業界2位の住友三井オートサービスの岩崎常務執行役員も強調する。1台当たり月100円程度リース料が下がるより、車両コスト全体を削減するほうが顧客の収益改善効果は大きい。
そこで今、各社が力を入れているのが「テレマティックスサービス」。GPSや車載カメラなどを駆使し、運行状況を分析するサービスだ。制限速度をオーバーしているドライバーの情報を即座に管理者に伝えたり、「車載カメラの画像データを分析することで、急ブレーキなどの危険運転もわかる」(藤川純太・三菱オートリース社長)。速度オーバーや急ブレーキが減れば、修理費や保険料は安くつく。燃費改善やCO2削減にもつながる。
テレマティックスでは、自動車の運行ルートや運転時間も完全に見える化される。最適配送ルート提案はもちろん、運転者の配置転換やリース車の減車を提案することも。「減車は商売にマイナスだが、顧客のメリットになる提案ができないと他社に奪われる」(佐伯孝志・三菱オートリース経営企画課長)からだ。
こうしたサービス合戦の後、最終的に勝敗を決めるのが規模と効率。これまでオリックス自動車が頭一つ抜けていたが、07年に住友商事系と三井住友銀行系が統合して住友三井オートサービスが誕生。一気に差を詰めた。同社の岩崎常務執行役員は、「合併で調達力の向上を感じている。09年4月のシステム統合で業務効率もアップする」と話す。
後続も負けられない。3位集団の三菱オートリースは、三菱商事系と銀行系との再編を09年2月に完了。「国内500社の事業投資先を持つ三菱商事、東日本に強い旧東京三菱、西日本に強い旧UFJの統合で、チャネルはナンバーワンになった」と藤川社長は息巻く。日本で自動車リースが事業化されて45年。業界再編は一気に加速しそうだ。
(山田雄大 =週刊東洋経済)
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