──仮に三重水素が使われていた場合、検出可能なのか。
専門家は技術的には可能だと言っている。不確定な要素は、実験が行われた地下トンネルを北朝鮮がどこまで上手く密閉していたかということだ。前回2013年の実験では、トンネルはかなり強力に密閉されていて、大気ステッカーを使った検知の努力は要領を得なかった。
この4回目の実験で、もし北朝鮮が再びトンネル密閉に成功していたとすれば、この段階ではわれわれには知りようがないということになる。
──北朝鮮が新たな原爆装置開発に取り組む理由をどう見るか。

熱核反応実験は技術的にとても困難であり、北朝鮮は今回は行わなかったということで、見解は一致しつつある。しかし、大きな流れで見れば、北朝鮮は核爆弾に関する非常に効果的な4回目の実験を完了したのだ。
もしそれが、水爆のような破壊力を持たないブースト型核分裂強化爆弾だったのだとしても、弾道ミサイルに搭載可能なサイズの核爆弾実現に向けた非常に問題のある動きになり得る。
各国政府によるコメントの多くが、今回の実験は核融合装置ではなかったと安堵のため息が聞こえて来そうな調子のものだったが、私は、それは見当違いだと思っている。
──三重水素を使うことと、弾頭の小型化はどう関係しているのか。
三重水素はよりコストパフォーマンスが高い。弾頭をミサイルに搭載できるほどに、サイズと威力のバランスを取れるのだ。小型化によってミサイルの種類も増やせる。
原爆装置を使えば一定の爆発規模を達成できるが、装置が大きく重くなるほど搭載可能なミサイルの種類は少なくなってしまう。不気味なのは、われわれは今、この二つの並行した努力の成果を目撃しているのかもしれないということだ。
金正恩の「エリート度」アップが目的
──核融合装置の実験を行わなかったと他国が証明するのは比較的容易なのにもかかわらず、北朝鮮はなぜ実験を行ったと主張するのか。
2006年10月に最初の核実験を行った後、北朝鮮の指導者は自国の聴衆に向けて一大プロパガンダを打ち出した。米国やロシアと肩を並べたのだと誇らしげに宣言したのだ。米ロの技術提供を受けたその他の国が核兵器を開発した点には言及せず、エリート中のエリートの仲間入りをしたと表現していた。
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