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1月6日、北朝鮮が4回目の核実験を実施した。北朝鮮は水素爆弾だと主張しているが、そうではなかった可能性も高い。重要なのはこの実験を通じて北朝鮮が何を主張したかったかである。
今回の実験の意図やアジアや世界情勢への影響を、ランド研究所の上級防衛アナリストで、北東アジア軍事問題スペシャリストとして知られるブルース・ベネット氏に聞いた。
水爆どころかブースト型の破壊力にも及ばない
──国防総省や諜報関係者からは水素爆弾ではなかったという疑惑の目が向けられている。このような判断に至った理由をどう見るか。
核融合兵器である水素爆弾を開発する目的は、単純な構造の原子爆弾(プルトニウムとウランをベースとする核分裂兵器)をはるかに超える破壊力を持つ兵器を手にすることだ。核融合兵器は通常、1メガトンから10メガトンもの破壊力を持つ。しかし、1月6日に北朝鮮で実験を行った爆弾の破壊力はその1%未満に過ぎず、1945年に広島に投下された原爆と、ほぼ同じサイズだ。(水爆の前段階である)「ブースト型核分裂爆弾」である可能性もあるが、いずれにしろ水爆ではなかった可能性が指摘されている。さらに、今回の実験ではプルトニウムやウランの核分裂が起きる温度レベルに達するまでに内容物の残りが出てしまっている。
もし少しでも水素を使っていればわずかでも核融合が起き、通常では起こらないような形でウランとプルトニウムが爆発する。そうなれば、そのパワーは50~100キロトンレベルになるはずだ。しかし先日北朝鮮が爆発させたのは10~15キロトンのレベルだろう。
つまり今回の爆破力は、水素爆弾あるいはブースト型装置の破壊力に届いていない。結局、あれが水素爆弾だったのかは、放出ガスを入手しないことには確実なことは言えない。水素はあったのに温度が十分上昇せず爆発力が出なかった可能性もあるし、まったく水素がなかった可能性もある。金正恩は、北朝鮮がいまだに持っていない能力を、あたかも持っているかのよう誇示したのかもしれない。
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