「日本は、これまでに十分な謝罪をしてきた」
岡本行夫氏「70年談話は未来志向で」

なぜ三菱マテリアルは賠償を行うのか
――三菱マテリアルは、どのようにして米国人捕虜への謝罪、中国人強制労働者に対する賠償を行う決定に至ったのか。
三菱マテリアルは、米国人捕虜から提訴されて以来、この問題に真剣に取り組むために、広範な調査を行ってきた。元捕虜が置かれた境遇には心から同情をするところがあり、誠実に対応しなければならないと思ってきた。この時点で「日本政府や民間企業に対するあらゆる請求は1951年のサンフランシスコ平和条約により解決済み」との政府の公式な立場の陰に隠れてはならないと思った。
私達は、謝罪を含め円満な解決に至ることを望み、米国の仲介者を通じて捕虜と連絡を取ろうとした。しかし、考慮すべき多くの要素があった。多くの部外者がさまざまなことを言ったこともあり、目標とは遠い形になった。
その後、昨年の初めに、ロサンゼルスのサイモン・ウィーゼンタール・センターと連携しているボランティアから別のアプローチがあった。それは「捕虜 日米の対話」代表の徳留絹枝氏からのものだ。三菱マテリアルは、それまでの調査から、真摯にこの問題に向き合わなければならないことを認識していたため、謝罪表明の要求に応じることを決めた。