コロナを経て急浮上した「2つの転職トレンド」 空前の売り手市場に明らかな変化が

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大阪で製造業を営むSさんの会社は、営業職を中途採用しようと、HPで継続的に募集を行ってきました。ところが応募があったことなど皆無で、慢性的な人手不足に悩んでいました。ところが5月にはなんと10人ほどの応募があったとのこと。それも応募者の多くは首都圏勤務の20代です。

面接はこれからとのことですが「コロナがチャンスをもたらしてくれるかもしれない」と光明を感じているようでした。

同じように地方の中小企業で、都市部の若手社員が応募してきたといった話は何社か聞きました。

こうした背景にあるのが在宅勤務や、コロナ終息後への不安があるようです。就職情報会社「学情」が20代の転職希望者に新型コロナウイルスの感染拡大の影響についてアンケート調査を行ったところ「地方への転職を希望する」と答えた人は36%と大幅に増加。

・テレワークで場所を選ばずに仕事ができることがわかった

・都市部で働くことにリスクを感じた

とコロナで“都市部脱出”を検討し始めた若年層が増えているのです。移動の自粛が解除になると、大移動が起きる可能性があるかもしれません。

地方への転職も可能にしたリモート採用

運送業や地方の中小企業への応募の障害となっていたものが解消できたことも大きいかもしれません。それはリモートの採用プロセスです。

リアルな採用プロセスだと、面接や会社説明、会場への移動時間をどうやりくりしようかと躊躇していた人でも、リモートであれば無理なく応募ができます。

飲食業界に勤務していた知人のWさんは、働いていた飲食店がコロナで休業。6月以降の再開のメドが不明なこともあり、転職活動をオーナーから勧められたとのこと。当初は同業の転職先を探したのですが、条件の合う会社が見つかりません。

そこで未経験でも転職ができる業種を見渡したところ、運送業の求人があり応募。面接から内定までリモートで行われたので、スムーズに入社にまで至ったそうです。慣れない仕事ですが頑張りたい……と話を聞かせてくれました。ちなみに同じ営業所には、飲食業界からの転職組が数人いたとのこと。

また、地方の製造業の中途採用の求人に、首都圏の大企業に勤務する若手から応募が増えているようです。地方の中小企業でも最終面接までリモートで行う会社が登場。さらに地方に住めば給与が下がっても生活レベルは変わらないとの説明を受けて入社を決意した応募者もいたようです。

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