日本とアメリカの「消費回復」が目に見えて違う訳 国力の違いはあるが、政治力の差も明らかだ

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ワクチン開発と接種に全力を挙げた国とGoToを優先した国の違いでもある(写真:bee/PIXTA)
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昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第43回。

アメリカの消費支出が顕著に回復

アメリカ経済は急回復するが、日本経済は低迷を続ける。

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アメリカでは、小売り売上高の急増に見られるように、経済が急回復している。これは、ワクチンの接種が進んで新規感染者が激減しているからだ。6月には、普通の生活に戻る。

他方で日本は、第3次緊急事態宣言の延長に追い込まれ、経済の低迷が続く。ワクチン接種がいつ完了するか、見通しが立たない。

この違いをもたらしたのは国力の差ではあるが、政治力の差でもある。

アメリカ商務省が4月15日に発表したデータによると、今年3月の小売り売上高(速報値。季節変動調整後)は、対前月比で9.8%増という、大幅な伸びになった。

対前年同月比で見ると、小売総額は27.7%増、外食は36.0%増、ガソリンは34.8%増となっている。後で述べる日本の状況と比較すると、信じられないような高い伸び率だ。

アメリカの各地から、活動再開のニュースがもたらされている。

カリフォルニア州は、6月15日から経済活動を全面的に再開する。ニューサム知事は、「6月15日から普通の生活が始まる」と4月6日に宣言した。

ニューヨークのデブラシオ市長は、4月29日、市内の経済活動を7月1日に全面的に再開する方針を発表した。

飲食店や劇場などに設定していた収容人数の制限は、すべて撤廃する。

アメリカの失業率はまだ高いし、経済再開によって物価が上昇する可能性もある。しかし、経済が着実に正常化に向かっていることは間違いない。

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