フェラーリの旧車が「億円単位」で売れる理由

10年で5倍の価値にハネ上がった車も

たくさんの人でにぎわいを見せる、Bonhams オークション

フェラーリを中心に、クラシックカー市場はかつてない規模まで拡大している。前出のオルシJr氏によると、直近の集計である2014年9月~2015年8月の1年間は主要オークションにおける取引金額が初めて10億ユーロ(約1200億円)を超えた。20年前と比較すると25倍前後まで膨らんでいる。

株や絵画よりも投資価値が上がっているクラシックカー

あるクラシックカーの価格は、この10年で5倍以上になったという。筆者の周辺のフェラーリオーナーに聞いても、保有しているフェラーリの中古価格が5年ぐらいで5倍ほどになっている事例もある。絵画やアンティーク家具のような昔からの定番コレクションが、逆に値崩れしているにも関わらず、もはやフェラーリをはじめとするクラシックカーは金融商品のような側面も持ち合わせている。最近のプライベートバンクやファイナンシャル・コンサルタントが「株や絵画に投資するよりもフェラーリのクラシックカーに投資するほうが、リスクも少なく安心だ」とあおるぐらいだ。

『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ~伝説を生み出すブランディング』(越湖信一著、KADOKAWA)。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

クラシックカー市場が大きく伸び始めたのは2000年初頭。スーパーカーの新車マーケットが大幅に落ち込んだリーマンショック直後も、クラシックカー市場は伸びが鈍り、成長が少し停滞したぐらいだった。その後は右肩上がりで拡大してきている。今年は年明けから世界の株価や原油相場が下落するなどリスクマネーの収縮もみられるものの、クラシックカー市場においては、これまでの流れは大きく変わらないだろうという予測が、関係者の間で飛び交っている。

クラシックカー市場が拡大している要因は大きく2つある。ひとつは「キング・オブ・スーパーカー」であるフェラーリのブランド戦略だ。

創業者エンツォ・フェラーリの神話と、モータースポーツの頂点でもあるF1でのヒストリーをバックボーンに、ブランドの希少性を高めていったフェラーリは他の自動車メーカーに先駆けてクラシック・フェラーリの価値向上のための施策を手掛けた。

フェラーリ250 GTO Berlinetta(写真:Bonhams)

フェラーリ社が「価値あるクラシックカーとしての認定制度 フェラーリ・クラシケ」(クラシケ=クラシックの伊語)を設けたのは2006年のこと。その認定を受けたいオーナーはイタリアのマラネッロにあるフェラーリ本社のフェラーリ・クラシケ部門か、もしくは世界中にあるフェラーリディーラーへ行き、認定審査を依頼する。

すると、クルマごとに決められているポイントがチェックされ、そのクルマが生産された時と同じ状態のオリジナルを保ち、かつ、各部が正常に機能しているかが判断される。そしてそれらがフェラーリ・クラシケの基準に達していれば、フェラーリ社はそのクルマが「ホンモノ」であることを証明するのだ。

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