フェラーリの旧車が「億円単位」で売れる理由 10年で5倍の価値にハネ上がった車も
クラシックカー、特にレースカーは、そのホンモノという解釈が難しい場合が時としてある。レースでは事故がつきものなので、スペアエンジンやスペアフレームなどがメーカーから供給される。その予備パーツを使ってもう一台同じクルマを作ることもそう難しいことはない。
その“ホンモノ”であるよりどころは、そのクルマが歩んできた歴史と、フレーム部に刻印された固有のシャーシナンバーなのであるが、スペアのフレームに同じシャーシナンバーが悪意で刻まれたら、どうだろうか。
そういうグレーな状況が生まれたとき、フェラーリ・クラシケは、その真贋の判断を行い、白黒をはっきりさせる役割を果たすのだ。ここでクラシックカーを持つリスクのひとつであるフェイク(偽物)や記録の混同によるトラブルを排除でき、より安心してフェラーリのコレクションを行える。
フェラーリの取り組みが、さらに価値を上げる要因に
また、クルマの素性的には問題なくても、改造されていたり、コンディションが悪かったりする場合には、フェラーリ・クラシケが、オリジナルの状態に復元することを引き受ける。これはビジネスとしてもかなり利益率が高い。なぜなら、ほとんどフェラーリ・クラシケの「言い値」で作業は行われるからである。
このようなフェラーリの取り組みによって、元々高かったフェラーリのクラシックカーの価値はさらに上がる。価値が上がれば、それに気を良くしてさらにオーナーはクルマの状態をよくするために整備やレストア(復元)に力を入れるから、市場にあるクルマの状態もますます良くなる。
そして、それまであまり人気のなかったモデルのフェラーリの相場も引っ張られて上がって行く。結果的にこれらの動きは現在販売しているフェラーリの新車の価格を上昇させる大義名分まで作りあげてくれる。
記事冒頭に登場した「250 GT SWBカリフォルニア スパイダー」は、何十年もの間、フランスの片田舎の納屋に忘れさられ、埃がうずたかく積もった状態で発見された59台のコレクションのうちの1台だ。
こういう案件をこの世界では「納屋モノ」と称す。クラシックカーはピカピカな状態に復元されたコンクールコンディションのクルマも評価が高いが、この「納屋モノ」のような「Preserved condition(プリザーブド コンディション)、つまり復元なしに新車のまま維持され続けた個体も、大いに価値がある。こういったヒストリーやそのクルマのかつてのオーナーの名前によっても付加価値がつくのがクラシックカーの世界だ。このクルマ達の保存状況がYoutubeで楽しむことができる。
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