フェラーリの旧車が「億円単位」で売れる理由 10年で5倍の価値にハネ上がった車も

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もうひとつの要因はオークションハウスの興隆である。

オークションを利用したクラシックカーの取引が近年増加し、オークショ
ンを執り行うオークションハウスがクラシックカーの相場を作っている。オークションハウスはカーコレクションを持ったオーナーが亡くなれば、膨大なコレクションを抱え困っている遺族たちから遺産であるクルマを預かってくる。はたまた漠然とした情報を頼りに隠されていたクルマとそのオーナーを探し当てて、オークション出品を勧めたりもする。

その預かったクルマたちをレストアし、ヒストリーを調べ、その裏を取る。そしてめでたくオークションに出品。高値で次のオーナーに渡ればその整備や保管も請け負う。そしてそのオーナーがまた手放す機会を虎視眈々と待ち続ける。

オープンな取引でリスクも少ない

今まで行われていた個人間における取引や、ブローカーによるクローズドで行われた取引が一気にオープンとなったワケだ。今まではクルマを入手することひとつとっても大仕事だった。怪しげなブローカーに騙され、偽物を掴まされはしないかビクビクしながら交渉を進めなければならないし、お金を払ったはいいが、届いたコンテナを開けて見るならクルマとも思えぬ鉄くずが鎮座していた、なんてことは珍しくもなかった。その道のプロですら騙されるようなリスキーさだったから、とても売買を楽しむどころではなかった。

ところが近年はオークションハウス達がしっかりと情報を公開する。たとえば、1967年製ランボルギーニ・ミウラ、シャーシナンバー305xは3人目のオーナーが長年所有しており、2002年に5万ドルを投じて、イタリア・モデナのスペシャリストの手によってレストアされた。その予想落札価格は1億~1億2000万円にも上る、というところまでレポートしてくれるのだ。

また、世界の名だたるクルマのイベント、コンクールデレガンスなど、「好き者」が集まる場にて頻繁に開催されるオークションはその敷居も低くなり、白熱した入札合戦を楽しむという「観戦エンターテインメント」としても人気だ。その場に行けない顧客のために、かつては電話による代理入札が行われていたが、今は当然、ネットにおいてリアルタイムで中継され、入札も簡単になっている。

次ページ中には100万円台の出展車も
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