目標7%に下方修正?女性登用を阻む人たち ボトルネックのひとつは現場「男性管理職」

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課題として出てくるのは「女性管理職候補者の不足」「女性のキャリア意識不足」が上位。本当にそれが課題なのか?前出の対談で出てきた

≪女性活躍のボトルネックは、男性の中間管理職という実感がある≫

という発言が気になって仕方がないのです。

男性管理職には、女性を登用するメリットが少ない?

例えば、当方が関わる製造業で次世代の管理職候補を育成する研修での出来事。対象者は20代後半の若手社員。その会社では男女比率が半々のはずなのに、研修会場には男性社員しかいないのです。確か、

「最近は優秀な人材は女性ばかりで、男性の採用に苦労している」

と嘆く人事部の声があがっていたはず。それでも男性だけが管理職候補に選ばれるのは何故か?それは選考方法が直属の上司による推薦であったから。現在の管理職が女性の管理職を選べる「目利きの力」がないのです。どうして女性を選ばないのか?理由を聞いてみれば

「女性社員を管理職候補として考えたことが無い」

と残念な回答が返ってきました。さらに聞いていくと、研修に推薦したら辞退されたことがあったとか、管理職にしようとした女性社員が結婚退職したなど、女性部下の管理職に育成する機会に「痛い目にあった」という話が幾つもでてきました。この会社の男性管理職の意識が相当に変わらないと、女性管理職は増えないでしょう。

ただ、このケースは異例なことではなく、どこの会社でも起こっていることではないでしょうか。そもそも女性管理職を増やす取り組みを会社が推進しても、現場の男性管理職にはメリットのないこと。むしろ、迷惑と感じている可能性さえあります。

管理職のポストには限りがあり、女性が管理職を目指せば、管理職になれない男性の部下が増えます。管理職への登用は利権のようなもの。その利権を自分たち男性社員だけで使いたいと(意識的、無意識的に)考えている男性管理職は相当いるのではないでしょうか。

男性管理職だけで会社運営をする方がやりやすい。こうした発想が管理職に残っている限り、会社が笛を吹いても踊れない組織のままで女性活躍推進は進まないことでしょう。

やはり、会社で女性活躍推進を男性管理職が自発的に進めるようになるには彼らが「メリット」を感じる施策が必要です。

例えば、人事評価の項目で女性活躍推進の取り組みが大きなウエイトを占めるとか、将来の昇進に対して女性部下のキャリアアップの実行が必須になるなどが効果的かもしれません。経営トップであれば、思いから取り組めることが、現場の管理職レベルになると、そうではないことも多々あります。そうした面を踏まえた環境整備が会社として必要かもしれません。

 

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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