2015年の大相撲界、心に響いた「10の言葉」 舞台裏で発せられた力士や親方たちの肉声

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いつもはポーカーフェースの業師が、珍しく見せた顔に驚いた。

旭天鵬と若の里が相次いで引退し、秋場所から安美錦は最年長関取になった。名参謀だった中澤さんはいなくなったが、その後の安美錦は老け込むこともなく、幕内上位で奮闘中。中澤さんの代わりを務める椿富士は、まじめにいい仕事をしていることも記しておきたい。

四、「ただただあの頃に戻りたい」(貴乃花親方)

6月20日、元大関貴ノ浪の音羽山親方が急性心不全のため43歳で急死した。貴乃花親方(元横綱)にとって、二子山部屋で切磋琢磨した1歳上の兄弟子。引退後は、師匠と部屋付き親方という間柄で貴乃花部屋を支え合ってきた。死去の翌日、通夜に参列した貴乃花親方は会場で「コメントできません」としたが、公式サイトにこうつづった。

「誠に誠に無念です。やりきれない気持ちでいっぱいです。もう一度あの頃に、共に汗を流し、激しい稽古に耐え抜き、鍛錬し、燃えたぎる炎を燃やして、明日の夢へ夢へと向かって、お互い汗を流したあの頃にあの頃にただただあの頃に、あの頃だけに戻りたい」

アイデアマンでもあった音羽山親方の死去は、相撲協会にとっても大きな損失だったと思う。

珍しいネガティブキャラの誕生

五、「できればみんな当たりたくない」(正代)

秋場所での新十両昇進を決めた正代(しょうだい)が、記者会見に臨んだ時のこと。時津風親方(元幕内時津海)から「何をするにもマイナス思考。気がちっちゃくて弱気。負けたらどうしようとばかり考えている」と指摘された。

「十両で対戦したい相手は?」と聞かれた正代は「全然ない。できれば、みんな当たりたくない」と即答した。師匠から「バカじゃないの?」と突っ込まれると「対戦を想像すると緊張する。飯も食えない」と言った。

ほとんどの関取は、謙虚だったり、無口だったりしても、どこか自信を漂わせているもの。ここまでネガティブな人は珍しく、逆にその性格が話題になった。8月にはツイッターで「どうやったら彼女できるの」つぶやいたほど。まさかネガティブキャラの立ち位置が角界で確立されるとは、想像していなかった。

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