あの「ポンプ式スニーカー」、人気再燃の深層 20年ぶりヒットに潜むリーボックのDNA
リーボックは1980年代、当時としては珍しい、レザーのフィットネスシューズ「フリースタイル」を発表した。このシューズはエアロビクスブームを牽引するだけでなく、米国のOLが通勤時に着用し、「日常でも履ける靴」として話題になった。
1989年にはポンプシステムを初搭載したバスケットシューズ「ザ・ポンプ」が発売され、一世を風靡した。インスタポンプフューリーの初代モデルが発売されたのは1994年。アイスランド人歌手のビョークさんが雑誌「Cut」の表紙でこのモデルを履き、人気に火がついた。
折しもエアマックス95などスニーカーが世界的にブームになっていたこともあり、1996年のインスタポンプフューリーロード、1997年に香港返還記念モデルなどが次々にヒットした。
だが、このときのブームは1995~1997年の3年間で終わってしまう。インスタポンプフューリーはそれ以降も細々と販売を続けていたが、ブームの終焉に伴い、注目度が低下していった。
米国プロバスケットボールの有名選手に商品を供給するなど注力していた競技用シューズでも、米ナイキや独アディダスなどのライバルが台頭。リーボックは2005年にアディダスの傘下に入ることになった。
再ヒットを生んだ2つの仕掛け
不遇の時代を乗り越え、インスタポンプフューリーはなぜ再び支持を集めたのか。要因は2つある。
1つ目は、「独自のテクノロジーを搭載したシューズ」という自らの強みにリーボックが立ち返ったことだ。遠藤悟・リーボック クラシック ディレクターは「ユニークなものを作るというのがリーボックの根底にある精神」と同社の社風を表現する。
2009年には、フィットネスシューズ「イージートーン」を市場に投入。かかと部分の空気が流動することで不安定さを生み出し、美脚やヒップアップに効くとされ、女性たちの支持を集めた。インスタポンプフューリーは、アッパーに空気を注入してフィット感を調整するシューズだ。「どちらも空気に着目した点は共通している」(遠藤氏)。
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