コンバースは、なぜ音楽スタジオを運営するのか アーティスト支援というマーケティング戦略
シューズメーカーのコンバースは2011年に、「ラバー・トラックス(Rubber Tracks)」という音楽スタジオの運営をはじめた。常設と移動式のレコーディングスタジオをもつこの音楽スタジオは、同社のコンテンツ戦略のカギを握るプロジェクトにまで発展している。
現在コンバースは、ナイキ傘下にある20億ドルの売り上げを誇るシューズメーカーだが、ボストンやブルックリン、ブラジルでいつでも利用できる3つの音楽スタジオを運営している。そこで1日8時間の無料スタジオセッションを新進ミュージシャンやバンドに提供しているのだ。
しかも、スタジオではサウンドエンジニアが立ち会い、レコーディングのための各種機器を自由に利用可能。録音した音楽の著作権まで保証するという。
カート・コバーンも愛用したコンバース
同社の音楽マーケティング担当グローバルディレクターのジェド・ルイス氏は「わが社は音楽に対して使命を感じている。有名無名を問わずアーティストたちは世代やジャンルを超えてコンバースに魅了されてきた。それが弊社のブランドを作り上げていき、コンバースを文化的なアイコンにしたのだ」と語る。
同ブランドで一番有名なシューズといえば、1970年代に販売されたバスケットシューズ「チャックテイラー(Chuck Taylor)」だろう。かのカート・コバーンも、ニルヴァーナ時代に履いていた。
だが、そんなコンバースも、2002年に経営危機を迎える。純資産が2億ドルまで落ち込み、破綻寸前まで追い込まれたのだ。そこでナイキに買収されて以後、経営を持ち直すことができた。2014年の売り上げは前年比で14%増(同年5月31日時点)、2015年は21%の増となり、20億ドルの売上を見るまでに至った。