続いて業種別の集計を紹介しよう。こちらは10年度の障害者雇用率を開示している877社が対象。全体の平均は1.62%で法定雇用率の1.8%を下回る。今回の集計対象はCSR活動に積極的な企業が多いが、それでも全体では法定には達していないのが現状だ。
業種別で雇用率が高いのは、ゴム製品2.01%(10社)、電気・ガス業2.00%(11社)、保険業1.97%(10社)など。一方で低いのは、証券、商品先物取引業1.04%(10社)、倉庫・運輸関連業1.07%(9社)などだ。全体的に社数が多くないため、はっきりとは言えないが業種による差はありそうだ。
一般に障害者採用の開始当初はたいへんな苦労があるという。しかし、その後、「潜在的な能力の高さを知った」という声もよく聞かれる。経験を積むことで「障害者」を戦力と考える企業は確実に増えている。
これまで1.8%だった民間企業の障害者の法定雇用率は13年4月から2.0%に引き上げられる。これを「義務だから仕方ない」と考えるのか。あるいは「優秀な障害者をさらに受け入れるよい機会」と考えるのか。どちらの企業から将来、職場で活躍する障害者従業員が生まれてくるかは明らかだろう。
業種 | 社数 | 障害者雇用率(%) |
水産・農林業 | 2 | 2.05 |
鉱業 | 2 | 0.95 |
建設業 | 45 | 1.59 |
食料品 | 43 | 1.95 |
繊維製品 | 16 | 1.59 |
パルプ・紙 | 9 | 1.77 |
化学 | 64 | 1.67 |
医薬品 | 15 | 1.75 |
石油・石炭製品 | 3 | 1.69 |
ゴム製品 | 10 | 2.01 |
ガラス・土石製品 | 12 | 1.52 |
鉄鋼 | 14 | 1.73 |
非鉄金属 | 9 | 1.67 |
金属製品 | 20 | 1.44 |
機械 | 48 | 1.68 |
電気機器 | 93 | 1.71 |
輸送用機器 | 44 | 1.77 |
精密機器 | 17 | 1.60 |
その他製品 | 24 | 1.82 |
電気・ガス業 | 11 | 2.00 |
陸運業 | 10 | 1.92 |
海運業 | 6 | 1.15 |
空運業 | 2 | 1.77 |
倉庫・運輸関連業 | 9 | 1.07 |
情報・通信業 | 61 | 1.39 |
卸売業 | 91 | 1.41 |
小売業 | 62 | 1.79 |
銀行業 | 27 | 1.81 |
証券、商品先物取引業 | 10 | 1.04 |
保険業 | 10 | 1.97 |
その他金融業 | 13 | 1.61 |
不動産業 | 21 | 1.22 |
サービス業 | 54 | 1.39 |
全体 | 877 | 1.62 |
(出所)『CSR企業総覧』2012年版
(岸本吉浩 =東洋経済オンライン)
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