シャープの命運を握る鴻海と二つの銀行
まさに正念場である。8月15日、シャープの株価は1974年以来、38年ぶりの160円台に落ちた。時価総額は1900億円を割り込んでいる。
来年3月までに669億円を出資し、9・9%を保有するシャープの筆頭株主になることで合意していたEMS最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)が、1株550円という条件の見直しに言及。調達資金の減少などが懸念され、株価は下げ止まるところを知らない。
8月2日に発表した2012年4~6月期決算は、液晶テレビの販売激減やパネル生産の不振から941億円の営業赤字に沈んだ。4月に公表したばかりの今期業績予想も、300億円の最終赤字から2500億円の赤字へ大幅下方修正している。
日本格付研究所(JCR)はシャープの長期優先債務格付けを「A+」から「A−」へ2段階引き下げると同時に、格下げ方向で見直される可能性の高いクレジットモニター(ネガティブ)に指定した。「今期の会社計画達成は予断を許さない状況。財務的にも十分なバッファを有するとはいえない」(JCR)。
確かに財務体質は急速に悪化している。6月末時点の有利子負債は1兆2000億円超。特に短期の有利子負債が増えていることが問題だ。
過去6カ月で短期借入金は約2000億円増加。増加分の多くは、みずほコーポレート銀行(メインバンク)と、三菱東京UFJ銀行(準メイン)が負担したもようだ。