スター・ウォーズ好きが「海老名」に行くワケ ルーカスお墨付き「THXサウンド」の威力

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「イオンシネマ海老名」スクリーン7では、今回の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開に合わせて、ドルビーフィルムコンサルタントの河東努氏がシアターの音響を特別監修。1981年公開の『連合艦隊』を皮切りに、30年以上にわたり日本における劇場用Dolby Soundの製作サポートを行ってきた河東氏は、今日まで2000本を超える作品に携わってきた音響の第一人者だ。

そして「イオンシネマ海老名」スクリーン7は、その河東氏が「ここのサラウンドはすごい」と絶賛するほどの設備を誇る。

一晩かけて音のバランス調整を実施

厳しい劇場のクオリティーチェックが求められるTHX

今回は、そんな『スター・ウォーズ』の聖地である「イオンシネマ海老名」のスクリーン7の初日に密着してみた。同館の新井和彦総支配人が「エピソード1、2、3をこちらの劇場で観続けてきて、今回の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』もこちらで観たいとおっしゃっていただいているお客さまも多くいらっしゃいます」と語る通り、12月18日18時半のチケットは完売。

上映前には、シネコンでは珍しい開映ブザーを鳴らし、さらに普段は使用されない緞帳(どんちょう)が開くようになるなど、この日限りのお祭りムードを演出。さらにオープニングの音楽が鳴り響くと、新作を待ちわびた会場のファンからは割れんばかりの拍手。この日は外国人客も多く来場しており、ヒューヒューと歓声もわき起こっていた。そしておよそ2時間半後、興奮した観客からは「THXすごい!」「生きててよかった」といった感想も漏れ聞こえた。

この歴史的上映を終えた新井総支配人は「最初にお客さまから拍手がわき起こったときは感極まって泣きそうになりました。やはり他の映画とは違うんだなと実感しました」と手応えを感じ取っていた。さらに「ありがたいことに映画好きな方からは、ここの劇場は音がいいという声をいただいている。今回、スター・ウォーズをやるならルーカスフィルムにゆかりがあるTHXを推すべきだろうということで、ドルビーの音響担当をされた河東さんに調整をお願いした」。

今回は、制作者が意図する録音状態を可能な限り再現、鳴らすことを目標に、前日の夜から朝まで一晩かけて、音のバランスや色味の調整などを実施したという。「測定器で調整できることをベースに、そこから河東さんが自分の耳で聞いた音をもとに微調整を行った」(新井総支配人)。

18日の初日は往年のスター・ウォーズファンのみならず、女性客、中学生、そして2世代にわたって親しんでいると思われる親子連れなど、幅広い層が集まった。新井総支配人も「最初は一般のお客さまにTHXのすばらしさが伝わるだろうかと不安でした。でも今日の反応を見ても、THXが良かったと言ってくださる方もいらっしゃいましたし、お子さまや女性にも多くいらしていただいて、新しい世代にも評判が広がっているのを感じました。実際にやってみて良かった」と手応えを感じているようだった。

本物のサウンドを求めて、スター・ウォーズファンの海老名への“聖地巡礼”がしばらく続くかもしれない。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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