スター・ウォーズの緻密すぎるファン育成術 マニアの愛を原動力に変えるビジネス戦略
ソーシャルメディアの時代になっても、ハリウッドにはいまだにファンを動物園の動物だと思っている映画会社がある。クールな映画人がエサをやろう、消費者を操るのは朝飯前、というわけだ。コアなファンを正しく理解している映画会社もあるが、ファンに関するビジネス戦略は未熟だ。
そんな彼らの手本が「スター・ウォーズ」だ。
今やあらゆる種類の映画にとって、ファンのコミュニティを形成してコントロールすることが成功のカギを握る。
「スター・ウォーズ」シリーズを制作するルーカスフィルムはその達人だ。大半の大手スタジオと違って、ファン対応の専門部署がある。担当者は手書きのファンレター(今も幼いファンを中心にたくさん届く)に返事を書き、6つのソーシャルメディアに毎日、特ダネを流す。発信する情報は1カ月前から準備されている。
銀河帝国のコスプレイベントには約4万5000人が参加
彼らの最も重要な仕事は、1年おきに開催される公式ファンイベント「スター・ウォーズ・セレブレーション」だ。10回目の今年は4月16日から4日間にわたって行われ、のべ4万5000人のジェダイやウーキー(チューバッカの種族)、ストームトルーパー(銀河帝国軍の機動歩兵)が集結した。
「徹夜で並んでくれた人はどのくらいいるの?」ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長は、アナハイムのコンベンションセンターを埋め尽くしたファンに呼びかけた。
客席がどっと沸いた。会場の入口には開門の28時間前、16日の午前5時から行列ができた。彼らの忠誠心に感謝して、夜遅くに200枚のピザが配られた。