スター・ウォーズの緻密すぎるファン育成術 マニアの愛を原動力に変えるビジネス戦略
今年は公式サイトStarWars.comで、30時間以上のインターネット生中継も行われた。ファンが自作したドロイドのレースに、キャラクターを彫刻した野菜のオブジェ。レイア姫を演じるキャリー・フィッシャーがステージに登場すると、ひときわ盛り上がった。
「仲間と一緒にいるだけで心が満たされる」と語るニッツァン・ハレルは、美女のジェダイ・マスター、アイラ・セキュラの姿。顔を青く塗り、頭から2本の長いテールが伸びていた。
イベントは大規模なマーケティングチャンス
銀河帝国のコスプレ大会は、大規模なマーケティングの機会でもある。
12月に最新作『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』が公開される前に、ファンの忠誠心をかきたてようというわけだ。2012年に40億ドルでルーカスフィルムを買収したウォルト・ディズニー・カンパニーも、男子児童をターゲットとしたアニメ専門チャンネル「ディズニーDX」で2014年秋から放送している『スター・ウォーズ 反乱者たち』の宣伝に力を入れた。
2日目の17日には、11月17日に発売されるゲーム「スター・ウォーズ バトルフロント」の最新作の予告編が公開され、数百人が殺到した。映画の世界が忠実に再現されている人気シリーズだ。
ディズニーとしては、ルーカスフィルムの買収に複雑な感情を抱いている多くのファンに対し、彼らの愛する「スター・ウォーズ」は有能なスタッフに委ねられていることを証明する機会でもあった。
肝心なのは、操られているのではなく、もてなされているのだとファンに感じさせることだ。ルーカスフィルムは年間を通したファン戦略で成功しているが、多くの映画会社はそこまで専念できない。
「ごまかしは通用しない」と、2010年からルーカスフィルムでファン対応の部門を率いるメアリー・フランクリンは言う。
たとえば、ルーカスフィルムにはファンを社員に抜擢する伝統がある。
フランクリンは、アラスカに住んでいるときにネットで「スター・ウォーズ」のファンクラブを立ち上げ、それが会社の目に留まって誘われた。
デジタルコンテンツとコミュニティ活動部門のマネジャー、マット・マーティンは、2002年のコミコン・インターナショナルでボランティアを務めたのを機に入社した(コミコン・インターナショナルは漫画などポップカルチャーのコンベンションで、毎年カリフォルニア州サンディエゴで開催される)。