ユニクロの買い物客は、なぜ「ゲスト」なのか

顧客を指す言葉が変わったことの意味とは?

ディズニーでは「ゲスト」という呼び方が浸透している(写真:Edward Linsmier/The New York Times)

顧客をもてなしの対象として扱う動きが拡大

ドラッグストアチェーン「ウォルグリーン」のレジの行列はなかなか進まない。洗剤やらデンタルフロスやらが入ったかごを抱え、あきらめの表情で並んでいる買い物客の胸には、早く支払いを済ませて家に帰りたいという思いしかない。

さて順番がようやく回ってきた客に、レジ係は笑顔で今どきの言葉で声をかける。「次の『ゲスト』の方、どうぞ!」

日常に潜む誰にも説明できない謎というのはいくつもあるが、これもそのひとつと言っていいだろう。どういうわけか、いつの間にか、ドラッグストアや食料品店、銀行や、ユニクロやステープルズといった小売りチェーンでも、顧客を指す「カスタマー」という言葉が「ゲスト」に取って代わられるようになってきた。

こうした語法の変化には眉をひそめる人も少なくないし、ツイッターなどインターネット上でも非難の声が上がることも珍しくない。

以前からホテル業界では宿泊客のことを「ゲスト」と呼んでいたが、それがどのようにガソリンスタンドまで広がっていったのか。私たちは調べてみることにした。

オックスフォード英語辞典の定義を見る限り、この2つの言葉に互換性はない。ゲストは他人の家や食卓でもてなされる人を意味し、カスタマーは買い物目的で販売所を訪れる人を指す。

次ページ「茶菓でもてなす」ニュアンスなのに
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 日本と中国「英語教育格差」
  • コロナ後を生き抜く
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナ徹底検証<br>日本は第2波に耐えられるか

米国やブラジルでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、日本は感染者も死者も圧倒的に少ない。その理由はいったいどこにあるのでしょうか。政策面、医療面から「第1波」との戦いを検証。「第2波」への適切な備え方を考えます。