スター・ウォーズの緻密すぎるファン育成術 マニアの愛を原動力に変えるビジネス戦略

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イウォークに扮した女性たち。「スター・ウォーズ」には熱狂的なファンが多い

「スター・ウォーズ」は比類なき映画資産でもある。独特のキャラクターや乗り物、言葉、惑星が築き上げる世界で人々の心を魅了する一方で、ファンが想像力を解き放てる余地も十分にある。

ディズニーの経営陣は、いまだに「スター・ウォーズ」ファンの強烈さに戸惑うこともある。

「私たちディズニーでも、あの熱情には驚かされる」と、ロバート・A・アイガー会長は昨年の電話会見でアナリストたちに語っている。

年々増えるファンイベント、その中でも壮観さは圧倒的

ディズニーも情熱的なファンには慣れているが、会社として彼らに対応する仕組みができたのは2009年からだ。ファンの窓口の責任者を雇い、1年おきに公式ファンイベント「D23エキスポ」を開くなど、さまざまな面でルーカスフィルムを手本としている。

次回のエキスポは今年8月にアナハイムで開催され、前回の2013年からは日本でも行われている(2015年の「D23エキスポ・ジャパン」は11月に東京ディズニーリゾートで開催予定)。

ファンイベントは近年、次々に誕生しており、ワンダーコン(コスプレのファンが集うイベント)、ヴィドコン(YouTubeを中心とする動画クリエイターとファンのコンベンション)、キティコン(ハローキティの公式コンベンション)などが人気を集めている。しかし、スター・ウォーズ・セレブレーションほど壮観な光景はまずない。

今年のセレブレーションで催された115のパネルディスカッションの大部分は、ファンの提案から(実現可能なものが)選ばれた。会場の外は暴動寸前。数千人のファンが入口に押し寄せた。ジェダイのローブをまとった男性グループが息ぴったりのダンスを披露し、頭からつま先まで白いプラスチックの鎧で固めたストームトルーパーの軍団がパトロールをしていた。

「ついにこの日が来た、泣きたくなるよね」キックオフのイベントが始まると、DJが観衆に呼びかけた。アリーナの客席から歓声が沸き起こり、ちらほらと涙が光っていた。

(執筆:BROOKS BARNES、翻訳:矢羽野薫) 

(写真:Sam Comen/The New York Times)

(c) 2015 New York Times News Service 

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