平和・PGM連合が繰り出す資本増強策とは 子会社優先株なら希薄化せず開示も不要!?

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PGPの11年12月末時点の総資産は908億円で、純資産は41億円。PGPによる120億円の資本調達は、純資産が4倍弱になる調達ということになる。PGMホールディングス連結全体の財務レバレッジを2.0ポイントも改善させるプラス効果をもたらすとはいえ、それが投資者の投資判断に「著しい影響」を及ぼすのかどうかは意見が分かれるところだろう。

また、普通株への転換条項もついていない以上、実質的な弁済期限もなく「もらいっぱなし」のおカネといえる一方で、一定の金銭配当を約束しているのだから、配当は事実上金利である。この優先株は株という名前こそついているが、実質的にはファイナンスと見ていい。

PGMホールディングスの11年12月期の有利子負債の調達コストは1.82%。ということは約1000億円の有利子負債のうち、1割強の分のコストが従来の倍近い3.5%にハネ上がることになる。

PGMホールディングスは親会社・平和に利益を吸い上げられることにならないのか。PGMホールディングスの少数株主の利益を侵害しないのか。親子上場の規律は古くて新しいテーマだが、この3.5%という金利水準が少数株主利益の侵害にあたらない根拠の説明は、本来あるべきではなかったのか。

今回の優先株発行に際し、PGMホールディングスは個別開示の必要の有無を「事前に東証に確認している」という。つまりは東証が個別開示の必要はないという判断を下したことになる。

私募CBやMSCBも当初は業績不振にあえぐ、ごく一部の上場会社の間で横行していたにすぎなかったために長期間放置され、一流企業が利用し始めて、ようやく開示が強化された。PGMホールディングスはライバルのアコーディア・ゴルフと比較すると多少見劣りがするとはいえ、上場会社全体の中では優良企業の部類に属するといってよい。

したがって、他の上場会社にとっては摸倣するにあたっての抵抗感がない。それだけに、何かと手続きが面倒な第三者割当増資の潜脱スキームとして、今後多用される懸念はないのか。

 

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