年45万円の出費!本当にヤバい実家の相続 年末の帰省で、親と話すべき3つのこと

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このケースの問題点は、家をどうするかを決めずに“とりあえず”相続をしてしまったことでしょう。ご本人も後悔されているように、本来ならご両親がご存命中に実家をどうするかを話し合っておくべきでした。不動産相続にとって最も大切なことは、“生前に家族で話し合うこと”、これに尽きるのです。

もちろん、久しぶりに帰省していきなり相続の話を始めるのがNGなのは言うまでもありません。普段からちょくちょく顔を見に帰ったり、伴侶や子どもを連れずに親兄弟だけで話す時間を作ることを心がけたいものです。

この年末年始、実家に帰省した際にはぜひご両親やごきょうだいと以下の3点を話し合ってみてください。

① 相続する財産はどのくらいあるか
② 誰がどのように相続するのか
③ 相続したあとの実家の処分はどうするか

気持ちを整理し、最善の選択を

では、このケースにおいてベストの行動は何でしょうか。

まず、最初に「この家をどうするか」の方針を決めることです。それも一刻も早く、活用できる状態であるうちに。現在は家の延命措置をしている状態で、問題を先送りしていれば老朽化は進み、価値はどんどん下がる一方です。メンテナンスのためのコストもさらに増していくでしょう。

もちろん「思い出の詰まった実家をこのままそっとしておきたい」という気持ちもわかります。家を保存することがなんとなく親の供養になるような気もするかもしれません。しかし、朽ちていく家をなんとか持たせている現状が果たして供養となるでしょうか。もしご両親がご健在ならなんとおっしゃるか、想像してみるとよいかもしれません。

実家の現状とご両親のお気持ちなどを冷静に考え、心に一区切り付けることができたなら、現状を鑑みてはっきりと目的を定めましょう。セカンドハウスとして活用するのか、引退してから移り住むのか、はたまた誰かに売るのか貸すのか。このケースの場合では、今現在ご家族が住むという可能性はなく、引退した後に戻るとしても10年以上は先になるという状況であるため、売るか貸す、という選択肢が残りました。

売るか貸すか、どちらにしても “建物が使える”ことがキーポイントになってきます。

たとえば売る場合ですが、今どき土地だけ購入しそこに建物を新築するという予算豊富な方はほとんどいません。更地にするよりも、直してでも活用できる建物がついている方が断然売りやすいのです。

実は今、都心に限らず地方でも中古の戸建て住宅は売りやすくなっています。これは日本に根付いていた「新築至上主義」に変化が生じてきたからではないかと私は考えています。

特に若い世代は、多少築年数が経っていても自分好みに改装して使う人が増えてきていますよね。また、政府が中古不動産の取引を活発化させる方針を示すようになったことも大きな要因でしょう。木造建築は躯体さえしっかりとしていれば、築60年のものでも問題なく住むことができます。もちろんきちんとメンテナンスを施すことが前提ですが、長野市は新幹線も止まりますし、十分売れると思われます。

なお、他物件との差別化を図り中古住宅を売ったり貸したりしやすくするため、売り主が建物検査「インスペクション」を行ったり、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入するなど、制度や仕組みを利用した様々なノウハウを著書の中でも解説していますので、ご参考いただければと思います。

(構成:山岸美夕紀) 

高橋 正典 不動産コンサルタント

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たかはし まさのり / Masanori Takahashi

1970年、東京生まれ。価値住宅株式会社代表取締役。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。中古住宅の流通時において建物価値が築後経過年数に比例して一律減価する日本の建物評価に対して、個々の建物の価値の維持・向上を目指すべく、取引物件のすべてに「住宅履歴情報」の蓄積を行う、不動産取引から維持管理まで、顧客との永続的関係構築を行っている。
また、築年数によらず建物の一つひとつの価値を評価し、適切に売却及び流通させる不動産ネットワークである「売却の窓口」を運営、全国に加盟不動産会社が拡がっている。

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