面接官(筆者):「ハイ!どうぞ、お入りください」
カナエさん:「失礼いたします」(ドアを開け、入室する。ゆっくりと丁寧で完璧なお辞儀)
面接官:「こんにちは!」
カナエさん:「・・・」(沈黙。ドアを丁寧に閉めてゆっくり移動開始)
面接官:「申し訳ございませんが、お時間が迫っていますので急いで椅子のところまで移動してください」
カナエさん:「・・・」(無言で椅子の前まで美しいウォーキングで移動)
筆者:「ストップ!カナエさん、それですよ、それ。」
完璧マナーの「落とし穴」
みなさん、おわかりですか。カナエさんは、「彼女にとっての完璧なマナー」で面接を受けています。しかし、そこが落とし穴なのです。カナエさんにとっての完璧なマナーとは、彼女のイメージの中にある憧れのCAの、優雅で一寸の狂いもないマナーを演出することでした。
遠くから彼女の様子を見ると、すでに現役CAであるかのように「意識して」振る舞っているようです。仮に、その振舞いを「なりきりCA」と名付けましょう。
本来、マナーというのは「他者への配慮と思いやり」の表現であるべきです。しかし「なりきりCA」は、演出することに注力しているため、配慮や思いやりといった視点が欠落してしまいがちになるのです。残念なことに、カナエさんは面接の間ずっとその「なりきりCA」を貫いてしまったのです。
結果、カナエさんは面接官への配慮や気配りに欠く態度をとってしまいました。こうなると、マナーだけではなく受け答えまで完璧に型にはめ、あたかも舞台上で演じている女優のようになりがちです。
「なりきりCA」には、残念ながらその場の空気を読む力も、相手の気持ちを察する力も存在しません。「なりきりCA」にあるのは、自分を完璧に演じ切ることです。
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