世界も認める「武士道」に学ぶビジネスの心得

その普遍性が今を読み解くヒントになる

さて、新渡戸は『武士道』のなかで、武士が重んじた価値として7つの徳目を説いた。それが「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」である。

ここからは、代表的な徳目である「義」「勇」「礼」の3つについてふれてみたい。

武士が最も重きを置いた価値――義

「まんがでわかる 新渡戸稲造『武士道』」(岬龍一郎著、あさ出版)。英語の原著をわかりやすく解説。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

まずは「義」。義とは、簡単に言ってしまえば「正義の道理」であり、「人として必ず守らなければならない道」のこと。つまり、正義である。武士は何よりもこの義を重んじた。

重要なのは、正義を追求することは理屈に合わない状況を生むこともある、ということだ。義とはつまり、「不合理の精神」なのである。ビジネスパーソンが命と引き換えに正義を追求するという状況はさすがにないだろうが、正しい道を追求することが、たとえば会社の利益に反することもあるだろう。

しかし、それでもなお、義を重んじることは、長期的に見ればビジネスを有利にすることにもつながる。それは、かつての食品偽装事件や相変わらず絶えない不正会計事件の例などを見ても明らかだ。

危機に遭っても動じない平常心――勇

「勇」も、武士に求められる徳目のひとつであった。武士は、恐れることなく敵陣に向かって突き進んでいくイメージがある。だから、勇とは、どんなときも炎の渦中に飛び込んでいくことだと信じている人は少なくない。

しかし、これは誤りである。武士の間では、向こう見ずな挑戦や後先考えない行動は勇ではなく、むしろ「匹夫の勇(ひっぷのゆう)」として軽蔑された。勇とは、「義を見てせざるは勇なきなり」(『論語』)という言葉があるように、ただ大胆に行動することではなく、「義」に裏打ちされた行動でなければならないのだ。

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