フランス地方選、「極右全敗」でも残る不安 2017年大統領選へ向けて極右は勢力拡大

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第2回投票の投票率は59%程度とされ、第1回投票(49.9%)を上回り、国民戦線の躍進を不安視する有権者が投票所に足を運んだ様子がうかがえる。第2回投票の結果、共和党が7つの地域圏を制して勝利したほか、社会党が第1回投票での劣勢から挽回し、5つの地域圏を制した(ただし、2010年の前回選挙で社会党は当時22の地域圏のうち21を制した)。残り1つの地域圏はコルシカ島の地域政党が最多票を獲得した。

地域圏議会の立法権限は、地域圏内の産業政策、就労支援、都市開発、中等教育などにとどまり、国政運営に与える影響は小さい。だが、2017年の大統領選挙・国民議会選挙前の最後の大規模選挙であることや、130名の犠牲者を出した11月13日のパリ同時多発テロ事件発生後で初の選挙ということもあり、大統領選挙・国民議会選挙での極右政党の勢いを占ううえで注目を集めていた。

国民戦線を率いるルペン党首は次期大統領選挙の有力候補とされ、大多数の世論調査において第1回投票で最多票を獲得することが確実視されている。地域圏議会選挙での初の勝利を追い風に2017年の大統領選挙・国民議会選挙に臨む国民戦線の目論見は、今回の第2回投票での失速により崩れた。ルペン党首自身も出馬した北部の選挙区で、第1回投票でトップに立ったものの、第2回投票では社会党が支持に回った共和党候補に敗北を喫した。

国民戦線の党勢は着実に拡大

それでも、国民戦線が次期大統領選挙の台風の目であることには疑いの余地がない。社会党と共和党によるなりふり構わぬ国民戦線つぶしの共闘姿勢は、旧態依然の政治体制と戦うルペン党首のイメージをより強固なものとする可能性もある。

最近の主要な選挙での国民戦線の獲得票率は、2012年4月の大統領選挙の第1回投票(17.9%)→2012年6月の国民議会選挙の第1回投票(13.6%)→2014年の欧州議会選挙(24.9%)→2015年3月の県議会選挙の第1回投票(25.2%)→同第2回投票(22.2%)→2015年12月の地域圏議会選挙の第1回投票(27.7%)と着実に党勢を拡大している。長引く景気低迷や失業増に苦しむ社会的弱者に加え、移民や難民の流入、さらには相次ぐテロ事件の発生を不安視する国民の間で支持層を広げている。

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