フランス地方選、「極右全敗」でも残る不安 2017年大統領選へ向けて極右は勢力拡大

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大統領選挙は小選挙区方式の2回投票制で行われ、各選挙区で1名の大統領を選出し、第1回投票で過半数を獲得する候補がいない場合、上位2名による決選投票が行われる。国民戦線のルペン党首が決選投票に駒を進めることが確実視されており、対峙する大統領候補としては、社会党から現職のオランド大統領、共和党からサルコジ前大統領やジュペ元首相などの名前が挙がる。

社会党は劣勢、共和党は内部に不協和音

2012年の就任以来、不人気にあえいできたオランド大統領の支持率は、パリ同時多発テロ事件の発生後に持ち直している。ただ、今年1月のシャルリ・エブド新聞社襲撃テロ事件後にも、こうした動きは見られたが、一過性のものにとどまった。2017年央の大統領選挙まで勢いを保つことは難しい。

しかも、社会党は今回の地域圏議会選挙でオランド大統領の支持率回復を党勢回復に結び付けることに失敗した。劣勢を挽回したかにみえる第2回投票も、反国民戦線での消極的な支持によるもので、次期大統領選での劣勢は避けられない。

今回の地域圏議会選挙を制した形の共和党も、第2回投票での社会党の候補擁立取り止めに助けられたもので、第1回投票では国民戦線に相当数の右派票を奪われた。共和党は2016年11月の党大会で大統領候補の選出を予定する。

共和党内は、右傾化することで国民戦線から支持者を奪還しようと試みるサルコジ前大統領派と、中道路線を主張するジュペ元首相派の間で、党運営を巡って揺れている。3月の県議会選挙の圧勝でサルコジ派が勢いを増したが、今回の凡庸な選挙結果に党内の不協和音が高まる恐れもある。大統領選挙に向けた党内結束に一抹の不安を覚える。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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