「合法パワハラ」がまったく合法でない理由 社労士の「首切りブログ」を弁護士が検証

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(3)については、パワハラ等不当な目的があると認定されれば、懲戒権の行使としての降格・減給処分が無効となり得ます。

(4)については、通常会社側から休職命令を出すには、客観的に社員が就業継続できない状態でなければならないため、医師からこのような状態を裏付ける診断書が出される必要があります。

求職命令自体が無効になる場合も

また、うつ病罹患がパワハラによるものであり労災だと社員から主張された場合、通常、休職制度は私傷病を対象にしているため、そもそも休職命令自体が無効になるリスクもあります。

以上のように、(1)から(4)の行為は、違法とならない可能性がないわけではないのですが、トラブルとなり、会社が社員を故意にうつ病に罹患させようと試みていることを裁判上立証されることがあれば、確実に違法となります。

また、社員を故意にうつ病に罹患させようと試みるという社内の空気ないし雰囲気自体、従業員の働きやすさという観点や企業イメージの観点からも、会社にとって望ましくない側面があります。

山田 長正(やまだ・ながまさ)弁護士
企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。
事務所名:山田総合法律事務所

 

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