顧客との絆づくり型O2Oで世界にも挑戦する無印良品(後編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》

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「気がついたらカテゴリーキラーの小売業がいろんないい商品を作るようになった。商品の差もほとんどない。どの企業の商品を使ってもほぼ壊れない。それなら、お客様との関係を築けないと、長期にわたっては店に来てくれなくなる。O2Oと言う前に、お客様が関係を築きたい企業なのかどうかということ。関係を築きたくないという企業は生き残りは難しいのでは」と奥谷氏は話す。

もちろん、どんな小売業にも当てはまるわけではない。ファストファッション業などには必ずしもO2Oは必要ではない。最新のファッションを廉価で販売し、利益率は低くても売り切る仕組みがある。無印良品が実践するような手間のかかるO2Oを取り入れる必要はないだろう。

「お客様とコミュニケーションをとるのは手間がかかり大変。でもそこをやるのが無印良品らしさ。無印良品を好きと思ってくれるエバンジェリストになってくれるとうれしい。ソーシャルメディアやO2Oの積み重ね自体がひとつのブランディング、ひとつの差別化になる、と考えて取り組まなければ意味がない」(奥谷氏)。

無印良品にとって、O2Oはひとつの手段にすぎない。顧客との良好な関係をいかに築いていくか。そこに主眼がある。

(ITアナリスト・松浦由美子 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

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