格安スマホ、「買い」を探すならココを比べよ 顧客満足度首位のあのブランドは何が違う?

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MVNOの回線はNTTドコモに接続料を支払って借りた空き周波数の一部だが、利用者が増えれば1人当たりの通信速度は低下することになる。借りる周波数幅を増やせば速度は上がるが、すると当然、接続料負担が増す。

投資を抑えたいMVNO業者にとって、これがいちばんの悩みの種。安値競争で顧客獲得は可能だが、利用者が増えれば増えるほど、今度は通信速度に不満を抱いた利用者が逃げてしまいかねないのだ。

ビッグローブは2012年2月にMVNO事業に参入した「老舗」だが、ニフティは参入後ようやく1年を経た新参組。実際、両者には契約数で大きな差があり、「回線にまだまだ余裕がある」ことが、ニフティへの通信速度の満足度を引き上げている要因の1つといえる。

しかしニフティにもいずれ、ビッグローブと同じ状況がやってくると予測できる。今後は利用者の増加に応じて周波数幅を積極的に増やしていけるかどうかが、顧客満足度を維持・向上するためのカギになるだろう。

目まぐるしく動く業界で、勝ち残るプレーヤーは?

MVNOを取り巻く通信業界は、目まぐるしく動いている。11月末には、MVNO大手の日本通信がNTTドコモに対し、回線接続料の過払い分の返還や接続料の算定式の合意確認などを求めた訴訟が東京地裁で棄却された。一方、総務省は接続料の算定根拠の提出をNTTドコモなど携帯電話事業者に義務付けるなど、MVNOの普及促進策を打ち出しており、これを受け日本通信は前述の訴訟案件の控訴を取りやめている。

総務省は携帯電話料金引き下げを検討する一方、MVNOの普及・競争促進の方針も示しており、携帯電話市場に占めるシェアは今後2割程度にまで膨らむと予想している(総合通信基盤局)。

しかし、現行キャリアの携帯電話に低料金プランが導入されれば、低価格だけを武器にしている業者は淘汰されることが予測できる。利用者の満足度を高める独自サービスで一挙にメインプレーヤーになれる可能性を秘めつつも、過不足のないインフラ投資を継続できるかどうかが、優勝劣敗の分かれ道となりそうだ。

「オリコン日本顧客満足度調査」戦略企画部
オリコン / oricon

Oricon CS Report(オリコン日本顧客満足度調査)は、オリコンが独自に行っている顧客満足度の調査およびその結果を示した指標です。この指標を公開することで、日本で流通している商品やサービスに対して消費者の選択を容易にすること、そして、これらを提供する企業の成長に貢献することを目指しています。詳しくはこちら

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