しこたま貯金したいなら、「トヨタ式」に習え 下請けで学んだ男が説く人生のカイゼン術
当時の私は、新聞に出ていたある記事に衝撃を受けました。当時の詳しい数字までは覚えていないものの、平均的な世帯の金融資産保有額は1000万円を超えている、というような内容でした。
前述した金融広報中央委員会の11月発表調査では、金融資産を保有している世帯について保有額の少ない順(あるいは多い順)に並べたときに、真ん中に位置する「中央値」は約1000万円。全体平均は一部の超富裕層に引っ張られている側面はあるものの1819万円です。私の記憶とつなぎ合わせてみると、おそらくはこれに近いことが新聞には書かれていたのだと思います。
離婚してマイホームを手放し、借金こそチャラにしたものの貯金100万円は、日本の平均な世帯に比べると圧倒的に少なく、1000万円の貯金を築くことは相当遠い出来事に感じました。一方で、よく考えてみると40代はまだ始まったばかり。当時の私は10年後に貯金1000万円を実現するという「明確な理想」を掲げ、リビングや寝室など目に付くところに、それを書き出した紙を貼りました。
特に根拠があったワケではありません。新聞記事を見てショックを受けた結果、そのような目標を設定しただけです。それでも、明確な理想を掲げることで、自然とそれに近づく行動が始まりました。これはトヨタグループ創設者である豊田佐吉氏の「障子を開けてみよ。外は広いぞ」という格言を私になりに解釈しています。反対に明確な理想を掲げずに空想ばかり浮かべていても、事態は前に進みません。
理想に近づくための現状把握
「現実を知り」「明確な理想」を掲げた私が、その理想に近づくため、次に採ったのが「現状の正確な把握」です。
私は自分の保有している財産を円単位でキッチリと把握することを始めました。パソコンの表計算ソフトである「エクセル」で独自に管理表をつくり、そこに預金通帳や金融機関から送付されてくる残高の帳票類などから引っ張ってきた数字を入れていきました。これは企業における貸借対照表(B/S)のようなものです。
これで、自分の掲げた目標である「10年後の貯金1000万円」に対して、どのぐらいのキャッシュがあるかどうかを正確に把握することができました。もし、保有している財産をまったく把握せず、状況を放置していたらカイゼンのために必要な材料を得られなくなります。
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