35歳商社マンは、転職して芝浦を本丸にした 大企業の看板を下ろした拓哉は通用するのか
彼女のサエコとは、一応まだ付き合っているものの、最近は、デートの回数が徐々に減ってきて2、3週間に1度になりました。
付き合う際に「結婚はちょっと...」と言っていたくらいです。ほかの男ともデートしているのだと思います。彼女の「多忙」というのは、仕事のみならず、さまざまな男性とのデートでしょうし、彼女も30歳の結婚適齢期。僕の甲斐性なしのせいで、そのうちにフラれるかもしれませんね……(笑)。
そんな状況を知ってる商社時代の同期や後輩からは、時々合コンとか飲み会に誘ってくれます。
が、どうにも最近様子がおかしいんです。
合コン相手の布陣は、CAや、丸の内近辺の保険会社、広告代理店と、まぁ商社時代と変わらずなんですが、自己紹介で僕のターンになると女性陣の温度が2℃くらい下がるのがわかるんですよね。「最近、商社からベンチャーに転職しました」っていうと、「えっ!? パードゥン?」みたいな。
僕の仕事の話になると、ナチュラルに商社の同期の話に戻されるとかはいい方で、露骨に僕に背中を向ける女もいます。第一印象ゲームは、誰からもタッチされない無言の拷問タイムですし、合コン後のLINEは閑古鳥が鳴いてます。タクシーで誰が送るかみたいな話になっても僕の指名率はゼロ。
これが大企業の名刺を捨てるってことなんだって思い知りましたよ。自分の選択は間違いだったのかなって雑念がフツフツと湧いてきたりもしますが、合コン終わりに、恵比寿横丁で反省会をしながら、サラリーマンらしき人たちを眺めて思うわけです。
僕は、一介のサラリーマンで終わりたくない。今は高く飛ぶためにしゃがみ込む期間なんだって。「ブスども、いつか見とけよ!」って、この悔しさをバネに、臥薪嘗胆です。サエコでさえ、悔しがる男になるんですよ、僕は。