iPhoneニュースアプリが抱える課題とは? 参加パブリッシャーは不満を漏らしている

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そのパブリッシャーにおいて、「News」から得られる流入は、1カ月あたり100万ビューに少し届かないほど。悪くはない数字だが、スタッフに対する「News」の運用プロセスのトレーニングや、「News」用のコンテンツを用意することなどを考えると、いくらAppleがパブリッシャーを魅了させる機能を用意したとしても、そこまでの価値はないのかもしれない。

「多くのPVやトラフィックを生み出さなければ、提供されるデータも基本的には意味がない」と、ほかのパブリッシャーも話す。「Appleは障害を解消すると説明するし、おそらくそうしてくれるだろうが、残念だと思う。でも、『News』への配信自体を諦めるわけではない」。

Appleが提供するデータも問題となっている。Appleはページビューやシェア数などを含むデータを毎週提供しているが、パブリッシャーはオンデマンドの解析環境や、ユーザーの年齢、性別、性質などに関するデータを欲しがっているのだ。

広告販売ができない

パブリッシャーたちを説得するため、Appleはそれぞれが自らのトラフィックを計測できるようにし、アプリ内でも広告枠の販売を可能にする予定であった。しかし、Appleはコンテンツに調査企業コムスコア(comScore)のタグを付け加えることを嫌がっているという。

いまのところ「News」からあまりトラフィックを獲得できていないパブリッシャーにとっては、問題ないかもしれない。だが、将来的にこのアプリがトラフィックの重要な源となったとき、コムスコア独自のトラッキングが無ければ、広告枠を販売することが難しくなる。

Appleの広報は、このアプリからどれくらいのトラフィックがパブリッシャーに送られているかは明言しなかった。しかし、コムスコアをアプリに統合し、データダッシュボードを「早急に」準備すると話している。

「コムスコアのタグはまだ準備されていない。アプリ使用に関する古いデータは提供されたが、いまだ限定的なもの。広告販売するのも難しい」と、あるパブリッシャーの役員は話す。

「『News』がニュースキュレーションアプリ『フリップボード(Flipboard)』と競えるとは思えない。また、来年の終わりまでにAppleが『News』のアップグレードやサポートを終了しても不思議ではないだろう。ニュースアグリゲーションアプリは難しい。彼らもこれで利益を必要としているわけではないので、良いビジネスではない」。

また、新しいアプリにとって、大きな難関となるのがユーザーの習慣づけだ。同様に「Instant Articles」をローンチしたFacebookには、すでに大量のオーディエンスが存在している。しかし、iPhoneユーザーには、まだ「News」を起動して利用する習慣が広まっていない。

次ページ運用やユーザーエクスペリエンスでも課題
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