原発事故被災の住民組織が賠償基準改善を目指し連携、「原発事故被災者相双の会」発足
福島県会津若松市内の生涯学習総合センター(会津稽古堂)で6月21日、「原発事故被災者相双の会」(以下、相双の会)の結成総会が開催され、原発事故被災者の生活再建を目的とした住民グループの連絡組織が発足した。会合には福島県内のみならず、新潟県や山形県、茨城県など県外に避難している住民を含む約150人が参加。「人間らしい生活再建の宣言」を採択した。
全国各地に散り散りとなった原発事故被災者にとって「生活再建が最大の問題になっている」(國分富夫・相双の会会長代行)として、同会では被災者へのアンケート調査を実施。今後はアンケートの集計結果に基づき、賠償基準の改善を含むさまざまな課題に共同で取り組んでいく。
会合に参加した今野義光さん(54)の一家では、南相馬市原町区の自宅から100キロメートル近く離れた南会津町に避難する最中に84歳の母親が脳梗塞で倒れて寝たきり状態になった。今野さん自身も震災前の仕事を続けることができなくなった。自宅の住宅ローンも残っており、新たな職探しが大きな問題になっている。
そうした中で家計の支えになっているのが旧緊急時避難準備区域の住民に対する精神的損害への賠償金(1人につき月10万円)だ。今野さんは原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)への申し立てを通じて母親に関する精神的損害賠償の増額を求めている。
一方、今野さんの自宅がある旧緊急時避難準備区域については、東電が8月末までに精神的賠償の打ち切りまたは縮小に踏み切る可能性があり、不安の種になっている。
小学生の子ども2人を持つ今野さんは現在、宅建業の資格を取得すべく、専門学校に通っている。今野さんは「仕事を早く見つけないと安心した暮らしを送ることができない」と打ち明ける。