人材のグローバル化におけるリスク--急増する産業スパイと新興国人材
--日本国内での最近の事例のように中国が多いのでしょうか?
日欧米、先進国企業の技術情報と言う点ではそうかもしれません。もう少し視点を広くすると、それがそうでもなく、インド、インドネシア、ベトナムなどの国内でも増加しているようです。それらは別に中国からのスパイではありません。そういうビジネスが成り立ってしまっているのが問題です。経済成長にモラルが追いついていけない、といったら陳腐かもしれませんが、機密や知的財産に関する意識が低いのは確かだと思います。
インドでは、経済団体ASSOCHAMが最近発表した調査レポートで35%の企業がスパイ行為を行っているとの結果が話題になっています。アンケートの回答者のほとんどが、「蔓延している」との認識です。パソコンだけの世界ではありません、盗聴も行われています。
例えば、インドのある日系企業から聞いた話では、採用面接時に、応募者が前の会社の機密情報を持って現れたりすることがよくあるんだそうです。「おいおい、君はどうしてそんな情報を持っているんだ」と。まあ可愛げもありますが、怖いですね。新興国内では企業対企業、企業対人、で普通に産業スパイ行為が行われています。したがって、こういう人材もいるということです。そんな新興国人材が日本企業にどんどんやってきている、ということです。
--狙われやすい業界は?
FBIによれば、国家レベルの諜報機関(中国?)に狙われやすいのは、最近はソフトウェア業界だそうです。
--対策は?
受け売りですが、米FBIが推奨する「ビジネス情報保護の手順」は次の通りです。
(1)内部と外部、双方の脅威があると認識する
(2)何が営業秘密かを特定、評価する
(3)営業秘密保護の積極的な計画を実施する
(4)営業秘密の現物と電子版を保護する
(5)知る必要があるかどうかに基づいて判断し、情報を分ける
(6)知的財産保護計画とセキュリティに対する従業員教育を行う