人材のグローバル化におけるリスク--急増する産業スパイと新興国人材
当たり前と言えば、そうかもしれませんが、これが出来ているかと言われて、はいと言える企業は少ないと思います。
産業スパイは日本において常に脅威であり続けたのだと思いますが、今まで散々放置し続けてきたことが明るみに出ているだけではないでしょうか。「おカネが欲しいから」「腹が立ったから」「国家のスパイだから」理由はいろいろあるでしょうが、隙をつくったほうが悪いと考えるべきです。
必ずしも国家レベルの脅威としてだけでなく、少なくとも企業レベルでは、「新興国を中心とした人材のグローバル化における、大きなリスク」として考えるべきです。
第一義的には、スパイ対策は情報管理部門が担うのが適当ですが、横断的なプロジェクトチームがあるならば、人事部が参加すべきだと思います。情報、モノ、人の管理が有機的に行われる必要があります。
--人事が気を付けておくべきことは?
まずやれることをやりましょう。人事部が気を付けるのは、やはり入社と退社です。入社後に秘密保持契約を結び、雇用契約書に競業避止条項を入れるか、競業避止同意書(Non-compete Agreement)に署名してもらうなどが必要かと思います。
書面も大事でしょうが、これもやり方も工夫次第で効果が出ると思います。新入社員を集めて内容を読ませずに「さあ、みなさんサインしてください」などと、ニコニコしながら、やっているところが案外多いのではないでしょうか、緊張感を演出して大袈裟にやったほうが良いかもしれません(笑)。人事部、部門長、情報管理部門が横に並んで厳しい目を送るなかで誓約書を書いてもらうとかですね。
事例を見渡すと情報流出事件の発生したタイミングは退職時が多いかと思います。「ネットワーク情報管理者に退職スケジュールを知らせ、退職にあたっての情報管理に関する問題を共有する」ということが大事ではないでしょうか。