人材のグローバル化におけるリスク--急増する産業スパイと新興国人材
さて、言葉の定義ですが、英語では、industrial espionage、economic espionage、corporate espionageなどが一般的です。spying やspooksもありますが、espionageが一般的です。日本人の私達が感じるスパイ活動ときくと「内部の人間が会社を欺いて何か悪いことをする」と考えがちですが、ハッキングも含む大きな意味合いで、外部からの活動を含んで使われています。
米国では「経済スパイ法(The Economic Espionage Act of 1996)」がありますが、日本では同様のものがなく、経済活動以外のスパイ防止法も制定されていません。ですので、公安などでは産業スパイ活動に対してどうしようも出来ませんので、何か起きれば、「不正競争防止法」「個人情報保護法」「e文書法」「不正アクセス禁止法」など、該当しそうな法律を見つけて対処することになります。
--新興国の産業がスパイ増えている?
先進国での産業スパイ活動について米国政府の様々な見解では、情報の流れている先は中国です。日欧米の技術情報などの産業スパイ活動は中国が多くを占めています。
5月、FBIが産業スパイ防止キャンペーンを展開しました。これは中国をバックグラウンドにした産業スパイが激増していることに対応したものでした。日本でも一部報道されていますが、気を使っているのか、中国の部分が削除されていますが、実際は名指ししています。昨年11月にアメリカ政府のスパイ活動防止機関が出したレポートでは「中国とロシア」を名指しで批判しています。ペンタゴン(国防総省)も、「中国による産業スパイ活動が軍備増強の原資となっている」などとしています。まあ、もうとにかく「中国スパイの時代」なんです。
カナダの通信機器大手ノーテル(2009年に倒産)のように経営機密情報が10年近く、中国側に筒抜けになっていた、ということが今年になって明るみに出ました。本当にゾッとしました。ご存知の通り、この会社は倒産してしまいました。よりによって通信機器の会社です。