おしゃれな「寺カフェ」は布教の新スタイルだ

現代人を救う「南無阿弥陀仏」の目的と効用

「稲盛和夫さんは65歳の時に臨済宗妙心寺派円福寺で在家得度され、仏門に入られましたが、昔、某企業の決算書を持って、青い顔をしてあるお坊さんのところを訪ねたといいます。その決算書を見たお坊さんは『これは大変なことですね。でも稲盛さん、これが生きているということではないですか』とおっしゃった。それを聞いた稲盛さんは、はっとして、平常心を取り戻したと聞いたことがあります。これが仏の智慧なんですね。

寺カフェ代官山で行われている坊主バー。多くの参加者を毎回集めている

私はお念仏を唱えることで、安心立命でいることができ、さまざまな場面で救われてきました。皆さんもやってみるといいですよ。1日1分でも、週に1回でもいいから。そのよさが実感できなかったら「無財七施(むざいななせ)」を試してみてはどうでしょう。お金を持っていなくても七つの布施ができる、という意味ですが、たとえば朝、笑顔で挨拶をするとか、人を褒めるとか、見返りを求めずに人に何かを与えるということです。お念仏を唱えて、無財七施を行うと、人のことなんて気にならなくなり、スッキリします」

経営のために布教より法要を優先

しかし、こんなに素晴らしい教えがあるのに、なぜ寺業界に活況は戻ってこないのか。

「布教は儲からないんですよ。住職には立派な方がたくさんいらっしゃいます。皆さんお寺の今後を考えている。仏教の教えを説くことの意義もわかってはいる。しかしお寺も経営をしていかなければならない。多くのお寺は、経営のために法要を選ばざるをえなくなりました。それから、お坊さんの多くを見ていると、コミュニケーションの方法や情報の伝え方が旧石器時代並みだと感じます(笑)。時代に合わせて変えられるところもあるはず。お釈迦さまが言ったことはどういうことなのか、今の人々にわかってもらう必要がある。それができないのなら、私は僧侶の看板を下ろさなければならないと思っています」

説法を聞くために、お寺に人々が足を運ぶ。寺カフェは、そんな変化が起きるための小さな一歩。次なるステップとして、仏教の奥深い教えをビジネスマンにも伝えていきたいと、淺野氏は準備中である。

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