日本人は「インドに抜かれる必然」を直視せよ 理工系マネジメント人材は、すでに奪い合い

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同じことがつい5年前に起きた。中国のGDPが日本を抜いたのが2010年。たったの5年前まで、日本は中国より大きかったのである。それが今や中国は日本の実に2倍以上の経済規模を持つ経済大国になってしまった(名目GDP米ドル比較)。それにより政治や軍事などあらゆる面で世界のパワーバランスが一変し、日本は相対的に弱々しく、不利になり、自信を無くしてしまった。

未だに日本人には「日本経済は中国より上だったのに……」という感覚が少なからずあるだろう。なぜなら、それがあまりにも短期間で起きたからであり、もっと言えば、その状況をまだよく呑み込めてすらおらず、しかるべき対応が出来ていなかったからではなかろうか。

それと同じことが、これからインドによってなされる。にもかかわらずほとんどの日本人が、本音では「インドはわが国よりはるかに遅れた国」と思っているのではないか。「一部優秀な人はいるかもしれないが、国全体としてはまだまだ日本のほうが格上だろう」と思っているのではないか。まさに10年前に中国に対し、そう思っていたのと同じように。

来るべくして来る時代に、どう備えるか

もちろん、そうはならないかもしれない。マクロ経済予測とは専門家の間ですら意見が別れるのが世の常。実際10年前には「中国経済はもたない」「必ず一度は瓦解する」などと専門家が言っていたし、そういう本も雑誌の特集も山ほどあった。

しかしいずれにせよ、ほとんどの国際機関が、向こう10年ほどのGDP成長をインドが7-8%、日本が1%弱と予測している。年複利7-8%という数字は簡単に言うと「10年で2倍になる」という数字である。対して1%では10年で1割しか伸びない。遠くない将来、インドが日本を抜き去るのは確実と見るべきだろうし、それに向けて備えをしておくべきだろう。では、どう備えるか。それは次回以降の記事でじっくり考察していきたい。

さて次回は、そのインドでもっとも強い産業、IT産業について、そのなかでも特に最もホットなテクノロジー系のスタートアップについて紹介する。今インドは、空前のテクノロジー起業大国となっている。

いったいインドのテック・スタートアップ界で何が起こっているのか、紹介していきたい。

12月14日、トーマツベンチャーサポート主催でインド、イスラエル、シンガポールのベンチャーシーンに関するセミナーが実施されます。本著者が代表を務めるリブライト・パートナーズの石崎弘典も講師として登壇予定。詳細はこちらから。

 

蛯原 健 リブライトパートナーズ 代表パートナー

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えびはら たけし / Takeshi Ebihara

日本証券アナリスト協会検定会員 CMA

1994年 横浜国立大学 経済卒の後、日本合同ファイナンス(現JAFCO)に入社以来、20年以上にわたりベンチャーキャピタルおよびスタートアップ経営に携わる。2008年 独立系ベンチャーキャピタルのリブライトパートナーズ株式会社を日本で設立しスタートアップ投資育成に携わり、2010年よりシンガポールに事業拠点を移し、東南アジアでの投資を開始、2014年にはインドにて拠点を開設してIT系スタートアップ投資活動を始める。

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