日本人は「インドに抜かれる必然」を直視せよ 理工系マネジメント人材は、すでに奪い合い
正確な統計を探すことは難しいが、インドで英語を母国語並みに操る人口は1億人以上いると言われている。これは米国に次いで2位。かつその数は、とてつもない勢いで増えている。なにしろ人口の半分が24歳以下の若年人口で、毎年大学に入学する人が2800万人いる国である。つまり4、5年ごとに日本の人口と同数の大卒労働者を輩出している国なのだ。
近年、インドでは旧来型の公立の小・中学校ではなく、私立の学校に通う子どもが急増している。そこでは小学校から、授業はすべて英語。これだけ膨大な英語話者が毎年輩出されているのだから、米国を抜いて世界最大の英語話者人口となる日は遠くない。
インドの大学、特に理工系大のレベルの高さは、世界的にも有名である。なかでもインド工科大学(IIT)は毎年1万人弱の定員に対し50万人以上の応募がある、つまり50倍以上の入試倍率を誇る超難関大である。
冒頭のグーグルやサン・マイクロシステムズの社長もこの大学の卒業生。IITはもはや、世界の一流企業にとって理工系マネジメント人材の輩出装置のようになっている。当然、その卒業生はグローバルITメガ企業がこぞって奪いに来る。初任給が数千万円というケースもあるという。
そのIITだけで毎年1万人近くの秀才エンジニアを輩出しているが、国全体では、毎年30万人の技術者を輩出していると言われている。インドがいかに理工系人材大国であるか、お分かりいただけるだろう。
インドは日本と「真逆国家」
ここまで論じてきたインドと、日本の状況を比べてみると、実に見事なまでに真逆の国であることに気づく。
人材の量と質において、ここまで真逆同士の国も珍しいのではないか。この2国の今後を考えてみれば、当然、日本の経済は停滞するか、良くても低成長。対するインド経済は著しく成長する。その結果起きることは、インド経済による日本経済の「逆転」である。
IFMなど国際機関の予測によると、インドのGDPが日本のそれを抜くのは2025年、今からちょうど、というよりたったの10年後である(米ドルベースの名目。購買力平価ベースでは、すでに抜かれている)。
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