ラジオには、まだまだ大きな可能性がある 南海放送、CBCラジオが好調な理由とは?

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今年9月に開催された放送批評懇談会セミナーでは、ラジオ界のキーパーソンが成功事例や課題を語った
2015年9月11日、放送批評懇談会セミナー2015「ラジオの可能性を真剣に考える すべてを語る150分」が開催された。独自のビジョンでFM補完放送にいち早く取り組んだ南海放送の田中和彦社長、東京以外で初めてホールディングス化し、3期連続増収を達成したCBCラジオの升家誠司社長。二人のラジオ界のキーパーソンが、成功事例や課題を存分に語った。両者のプレゼンテーションに続いて質疑応答を掲載する。
(セミナーモデレータ・川喜田尚)

 

<まず南海放送の田中和彦社長のプレゼンテーション>

南海放送のある愛媛県は、人口約140万人、テレビ4局目の周波数が最後に割り当てられた地区で、非常に厳しい状況。南海放送のラジオの売り上げは全盛期の約半分の6億5000万円。それでも四国のラジオ8局では一番よく、他局は2億〜4億円台である。県内のテレビとの競合は激しく、テレビの3、4局目の新局とラジオのスポットが同額、あるいはテレビのほうが安いこともある。

今治タオルの教訓

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こうしたローカルラジオの最前線で、我々は何をしてきたか。私が社長に就任する昨年まで、河田正道前社長(現・会長)と話し合っていたのは、「AM ラジオが魅力あるメディアとして、あと何年もつか」ということだった。「努力しなければ20年はもたない」という共通認識に至り、前社長の決定のもと、施 策に乗り出した。

その話の前に、今後のラジオのヒントになりそうな他業種の事例を紹介しておきたい。愛媛県の「今治タオル」は、質の良い高級タオルとして知られている。しかし、現在のブランドを築くまでには地獄を見た時期があった。

1985年頃まで、今治は日本のタオル産業で50〜60%のトップシェアを誇っていた。ところが、中国からの安価な輸入品に押され、国内のタオル産業は一気にしぼんでしまう。95年には今治のタオル業者数も生産量も約5分の1に減少した。

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