アップルが地図サービスを刷新、グーグルと決別へ

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アップルとしては、今年秋の新アイフォーン発売を機に、シェアの差を縮めていく必要がある。そのためもあり、iOS6の新機能の数々を見ると、「対グーグル」を意識したものが少なくない。

これまで、アップルは標準の地図サービスとして「グーグルマップ」を使ってきたが、iOS6からはグーグルと決別。独自の地図システムを採用することを明らかにした。音声検索機能と組み合わせることでカーナビとしての活用も提案していく方針で、日米欧の九つの自動車メーカーと話し合い、1年以内にハンドルに音声検索ボタンを標準搭載した自動車の発売を目指していく。対するグーグルも、6月末から高精度の3次元地図サービスを開始するなど、モバイル端末からの地図活用の強化に余念がない。

飛行機、映画館などのチケットを管理できる「パスブック」もグーグルを意識した新サービスだ。パスブックはNFC(近接通信)機能を搭載したアンドロイド機でグーグルが提供している「グーグル・ウォレット」への対抗策である。グーグルはグーグル・ウォレットをモバイル決済の世界標準にすることを目指し、NFC機能が搭載される見込みの次世代アイフォーンへのサービス提供も視野に入れていたが、ここでも混じり合うことのない水と油の関係になった。

覇権争いはますますヒートアップしていきそうだ。

(山田俊浩 =週刊東洋経済2012年6月23日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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