解雇に関する法律を厳しくすれば、失業者の職探しは厳しくなる--独有力コンサルティング会社幹部に聞く「ユーロ危機」

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--オランド大統領はユーロ共同債発行の必要性を唱えていますね。

独政府は「ユーロ共同債を支持しない」との姿勢を明確にしています。政府の支援なしに発行できるとは思っていません。

現在の問題のいくつかは「ゼロかイチか」という「デジタル」的にとらえられてしまっている面があります。共同債に関してもしかり。ユーロの枠組み作りは加盟国の債務支払い能力などについて十分な議論がなされないまま、走ってしまった感があります。今がいくつかの「宿題」に取り組まなければならないタイミングだと思います。

共同債については企業にたとえれば、わかりやすいでしょう。社債を発行する場合、企業にはCFO(最高財務責任者)が1人いるだけですよね。しかし、ユーロ圏ではCFOが1人だけではない。それに、金融規制も統一されていません。共同債を発行するのはまず、そうした環境を整えてからだと思います。

--「ドイツのような財政規律一辺倒ではなく、成長も重視すべき」といった趣旨の発言がユーロ各国の首脳などから聞かれるようになりました。

これについても、デジタル的な議論がされていると思います。記憶は定かでありませんが、危機が到来した当初、確か、米国のオバマ大統領は「財政赤字ばかりで成長戦略が十分ではない」とメルケル首相を批判していました。しかし、その後、しばらくすると「ドイツモデル」は賞賛されるようになりました。

企業だってコスト削減と投資は同時に行わなければなりません。コストを削減するとともに構造改革を行い、変化や成長につなげる必要がある。そのコンビネーションが大事なのです。

2030年には世界人口が80億人を超えます。そのとき、欧州はどのような役割を果たすのか。それを考えるべきです。そうした時代には「グローバリゼーション」という言葉さえも使われなくなるでしょう。すでに行われたことが前提の世界になるからです。

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