幼い頃に受けた「心の傷」癒やす"親との関係の手放し方"――負の連鎖を断ち切り、自分自身の人生を取り戻すための処方箋

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トラウマ理論では、こうした反応は「安心できるつながりを持てなかった過去が原因で、神経が過敏なままになっている状態」と説明されます。その過敏さは家族全体に伝わりやすく、言葉や意思の力だけでは止められません。

親が自分の心と体の状態に気づけず、感情や体の反応を整える術を持たないままでいると、その不安定さが家庭全体に広がり、子どもも同じパターンを学んでしまいます。

けれども、この連鎖は絶対に避けられない運命ではありません。自分の親のどんな行動が「毒親」と呼ばれるものだったのかを冷静に見つめ、過去の体験を1つひとつ振り返りながら、「なぜ自分はこう反応してしまうのか」を理解すること。それが無意識の繰り返しを止める一歩になります。

理解が深まるほど、自動的だった反応を少しずつ選び直し、新しい関係性を築く力が育っていくのです。

過去と未来を分けて考える

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毒親の連鎖を断ち切るための第一歩は、「あの親のようにはなりたくない」という素直な気持ちを認めることです。

その感情は反発や怒りだけでなく、「これから、どう生きたいか」を見つめるための大切な手がかりになります。

「同じ思いを誰にもさせたくない」「あのときの苦しみを繰り返したくない」という思いを土台にすれば、過去と未来を分けて考えられるようになります。

過去をなかったことにする必要はありません。その痛みを抱えたままでも、「同じことを繰り返さない」という生き方は選べます。小さな実践を積み重ね、他者とのつながりを広げていくことで、その選択は次の世代への大切な贈りものとなるでしょう。

井上 陽平 公認心理師・トラウマ専門カウンセラー・トラウマケア専門「こころのえ相談室」代表

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いのうえ ようへい / Yohei Inoue

児童養護施設・情緒障害児短期治療施設での活動を経て開業。愛着の回復、解離の安定化、PTSD反応、過覚醒・感情麻痺、HSP 特性の理解と調整など、「安全に生きられる感覚が戻ること」を中心に据えたトラウマケアを行っている。ソマティック(身体感覚)、神経系調整、イメージワーク、対話を組み合わせ、過緊張、疲労感、解離、フラッシュバック、感情の麻痺など、神経系に刻まれた反応に多角的にアプローチ。複雑性/発達性トラウマ、カサンドラ症候群、モラルハラスメント、性被害後の身体反応など、「理由がわからない生きづらさ」を抱えるクライエントと数多く向き合っている。
https://trauma-free.com/

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