幼い頃に受けた「心の傷」癒やす"親との関係の手放し方"――負の連鎖を断ち切り、自分自身の人生を取り戻すための処方箋
たしかに、親への嫌悪は自分を守るための自然な感情です。虐待や支配的な関係から距離を取るための最初の一歩として、その感情はとても大切です。
「嫌い」という気持ち自体は、自分を守るための健全な防衛反応です。ただ、その感情の中に長く留まってしまうと、心は過去の出来事に縛られたままになり、気持ちが固まってしまいます。
嫌悪の感情は「闘う」という反応(fight:攻撃・対抗の反応)と深く結びつき、交感神経を過剰に刺激します。その状態が続けば、心も体も常に緊張や疲労を抱えることになり、回復のペースも遅くなってしまいます。
さらに、親を嫌い続けることで「被害者」と「加害者」という構図から抜け出せず、自分の人生の主導権を握りにくくなります。感情が強く湧き上がるたびにエネルギーを消耗し、その影響は日常生活や人間関係にも及びます。
また、嫌悪の対象である親の一部の性質が、自分の中にもひそんでいることがあります。この「影(シャドウ)」を見ないまま避け続けると、同じような特徴を持つ他者や自分自身と向き合うたびに、苦しみが繰り返されることがあります。
だからこそ、「嫌う」という感情をゴールにせず、「安全な距離を取る」→「自分の価値観や生き方を再構築する」という段階を踏むことが大切です。安心できる環境の中で、身体感覚を通して心を落ち着け、小さな成功体験や自己肯定感を積み重ねていくことで、おだやかな生き方が見えてきます。
親を「許す」ことができるか?
何十年も自分を苦しめてきた親を、果たして許すことができるのか。これは簡単には答えの出ない、深くて重たい問いです。傷が深ければ深いほど、「許す」なんて言葉自体に腹が立ったり、無神経に感じたりすることもあるかもしれません。
「そもそも許す必要なんてあるの?」。そんな疑問が頭をよぎるのも当然のことです。
たとえば、子ども時代のあなたにとって、親は巨大な存在でした。どなる声、無視する態度、理不尽なルール。それらにおびえながら、ただ、じっと我慢していた記憶がある人もいるでしょう。
でも、ときが経つにつれて、その親も老いていきます。かつては絶対的な力を持っていたはずの存在が、いつの間にか小さく、弱く見える瞬間が訪れるのです。


















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