「4代目プリウス」の電池はなぜ2種類あるのか ニッケル水素だってまったく枯れていない
「ニッケル水素電池は枯れた技術ではありません」
プリウスが2種類の電池を採用したのは、これが初めてではない。3代目をベースに登場したプリウスαでも両方を使っていた。しかしこのときは、5人乗りがニッケル水素電池、7人乗りがリチウムイオン電池という使い分けをしていた。
荷室の位置に3列目シートがある7人乗りは、従来のプリウスのように荷室床下に電池を積むことができない。そこで小型高性能のリチウムイオン電池を前席間に収めた。しかしスペースに余裕がある5人乗りは、価格を安く抑える目的もあり、大柄だが安価なニッケル水素電池を従来どおり荷室床下に置く設計だ。
ところが、今回の4代目の試乗会で展示された2種類の電池は、大きさはほぼ同じになっている。重量はリチウムイオン電池のほうが15㎏軽いそうだが、性能差や価格差はほとんどないという。リチウムイオン電池は量産効果で価格が下がった一方、ニッケル水素電池は技術の進歩で小型化が可能になった。豊島氏が「枯れた技術ではない」と解説した理由はここにある。
リサイクルやリユースの取り組み
「プリウスにはハイブリッドカー全体を底上げするという役目があります。ニッケル水素電池にはまだ伸びしろがあるし、今後のビジネスを考えればリチウムイオン電池もやっていく必要があります。2つの技術をともに向上させるために、必ず2つとも採用しようと思っていました」
トヨタがニッケル水素電池にこだわる理由のひとつに、リサイクルやリユースがある。トヨタは初代プリウス以来17年間、この電池を使い続け、リサイクルやリユースの取り組みも進めてきた。ここでリチウムイオン電池に転換すると、ゼロから新しい仕組みを構築しなければいけない。それはもったいない。よってリチウムイオン電池のリサイクルやリユースも少しずつ手掛けつつ、ニッケル水素電池も今までどおり扱っていきたいと考えているのだ。
では2つの電池をどのように使い分けるのか。日本仕様では次のようになると、豊島氏が明かしてくれた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら