「4代目プリウス」の電池はなぜ2種類あるのか ニッケル水素だってまったく枯れていない

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「リチウムイオン電池は軽く、エネルギー抵抗が低いので燃費を出しやすいという特性があります。そこで上級グレードに載せました。装備が充実する分、車両重量が重くなりますが、それが理由で燃費を悪くしたくはありませんでした。ほかのクルマなら無視するポイントかもしれませんが、プリウスは多くのユーザーに同じ燃費を提供したかったのです」

ただし例外がある。40㎞/L(ガソリン1リットル当たりの走行距離、JC08モード、以下すべて同じ)をマークするといわれる燃費スペシャルだ。現行プリウスではLグレードに相当するが、全体の1割ほどではあるものの、この種のグレードを好むエコ・コンシャスな人はいて、彼らの期待に応えるために、装備を抑えたボディにリチウムイオン電池を積むことで燃費を伸ばしたという。

軽いボディに高性能なメカニズム。これはスポーツカーの高性能モデル、たとえば生産は終了してしまったが、三菱自動車の「ランサーエボリューション」に通じる手法だ。「プリウス・エボリューション」と呼びたくなるような4代目の燃費スペシャル、従来以上の人気を集めるかもしれない。

プリウス初の4WD仕様にはニッケル水素電池のみ搭載

電池関連ではもうひとつの注目点がある。4代目はプリウス初の4WD(4輪駆動)仕様がラインナップされるが、これにはニッケル水素電池しか搭載されない。この点について豊島氏は次のように語った。

「ニッケル水素電池の方が低温特性はよいのです。4WDは雪国での需要が多くなりそうなので、ニッケル水素電池で統一しました。リチウムイオン電池は逆に高温になっても性能が低下する傾向があり、電池が熱くなるという欠点もあります。それに比べるとニッケル水素電池は安定しています。燃費は同じ4代目のFF(前輪駆動)仕様ほどは伸びないですが、3代目のFFよりは上を行きます」

価格が安いニッケル水素電池、性能がよいリチウムイオン電池という従来の上下関係は成り立たなくなりつつある。その状況をいち早く取り込み、上手に使い分ける4代目プリウス。ハイブリッドカーの先駆車ならではの技だ。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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