「刑務所に閉じ込めておけ」の声に疑問…前代未聞の凶悪犯罪《女子高校生コンクリート詰め殺人事件》加害少年の"その後"を追い続けてきたワケ
また、刑期を終えた人が、いつ自分の隣人になるかはわかりません。そのとき、まったく反省も更生もしていない人が隣に来るのと、更生し社会に貢献しようとする人が来るのとでは、どちらが望ましいでしょうか。そうした問いでもあると思います。
誰かを排除することで、最終的には自分も排除される
──あまりに残虐な暴行内容だったことから、少年であっても厳罰に処すべきだ、親が責任を負うべきだという自己責任論が強まりました。近年は、死刑執行の迅速化や無期懲役の終身化を求める声など、処罰感情が一段と強くなっていると感じます。
「自己責任」という言葉が広く使われるようになったのは、2004年のイラク邦人人質事件で、政治家が口にしたことが一つの契機でした。それ以降、周囲と異なる行動をして失敗した人を切り捨てる風潮が強くなったように思います。
「他人に迷惑かけるな」とよく言いますが、迷惑を一切かけずに生きることはできない。行儀よく振る舞える人だけが権利を行使でき、そうでもない人は排除されるのは、市民社会として健全ではありません。
誰かを排除する論理は、突き詰めれば最終的に自分自身が排除されることにつながります。その恐怖に怯えるのではなく、共感しにくい人とも共に生きられる寛容さがあってこそ、誰もが生きやすい社会になる。そのためには、加害者がどのような背景で育ち、なぜ事件を起こしたか、何が不足していたのかを考える機会を持つことが不可欠だと思います。
──事件から40年近く経ち、リアルタイムで知らない世代も増えました。この本をどのような人に読んでほしいですか。
事件を知らない人や、加害者の更生について考えたい人に読んでいただきたいのはもちろんですが、「こんな野獣のような連中」と断罪して加害者の人生を知ること自体を拒否している人にも手に取ってほしいと思います。殺人事件の加害者と接する機会は多くありません。彼らの生き方を通じて、犯罪を減らすために何が必要なのかを考えるきっかけになれば幸いです。
ただし、彼らを擁護するための本ではありません。「家庭環境が悪かったから大変だったんだ」と言いたいわけでもない。犯罪被害者の中には、矯正教育に力を注ぐ人もいます。それは、これ以上悲しい思いをする人を生まないためであり、再犯をさせてはいけないという思いがあるからです。
マスメディアが被害者や加害者の双方を取材し、事実に基づいた調査報道を重ねることで、誰もが「より善く生きる」ことを考えるきっかけになればと願っています。
1971年北海道生まれ。大学卒業後、東京の制作会社に入社。テレビ朝日「ニュースステーション」「報道ステーション」のディレクターとして、犯罪被害者や死刑制度などを取材した。2006年HBC北海道放送に中途入社。警察・政治キャップ、統括編集長、報道部デスクを務めた。2026年1月に『償い 綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件 6人の加害少年を追って』(文藝春秋)を上梓した。
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