「あなたしかできない」特定の人に負荷が集中する構造
中間層が辞める企業には、いくつかの共通点があります。
その1つが、「あの人なら何とかしてくれる」という甘えから、特定の人を便利屋のように扱ってしまう構造です。
責任だけが押し付けられ、権限は与えられない。
この状態が続くと、どれほど優秀な人でも心がすり減っていきます。
実際に、ある企業でクレーム処理が得意な社員がいました。彼女は冷静で、相手の感情を受け止める力もあり、難しい案件でも丁寧に対応できる人でした。
その能力ゆえに、クレーム案件は次々と彼女のもとへ回ってくるようになりました。
「○○さんにしかできない」
「あなたしかいない」
そう言われると、責任感が強い彼女は断れません。
何とかしようと踏ん張り続け、周囲からの評価も高まっていきました。
しかし、その言葉は褒め言葉ではなく、彼女を逃げられない場所に縛りつける鎖になっていったのです。やがて、心身の疲労は限界に達し退職を選びました。
そして、彼女がいなくなった途端、現場は混乱しました。クレーム処理のノウハウは属人化しており、誰も引き継げない。「彼女に任せておけば大丈夫」という空気の裏側で、組織は彼女に依存し続けていたのです。悪気があったわけではありません。
むしろ周囲は彼女を信頼していました。しかし、その信頼は期待を通り越し、負荷の押し付けになっていたのです。
彼女のように、特定の人に仕事が集中してしまう現象は、決して珍しくありません。むしろ、多くの企業で日常的に起きています。
では、なぜ属人化は起きるのでしょうか。理由はシンプルですが、しかし根深いものです。「できる人に任せたほうが早い」という短期的合理性です。
忙しい現場では、誰もが目の前の業務に追われています。そんなとき、「○○さんなら確実に処理してくれる」という安心感は依存につながりやすくなります。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら